道警不祥事から考える〈31〉不祥事警官、また“二世”か?

2019年2月号

薬物捜査担当の刑事が自ら薬物に手を出した事件で、北海道警察は2018年唯一の懲戒免職処分を決めた(昨年10月12日午後、札幌市西区の北海道警察琴似留置場)

覚醒剤巡査部長が追起訴、保釈中に再所持・再使用

覚醒剤事件で逮捕・起訴された現職警察官(当時)が、保釈後に再び薬物に手を出す――。重い依存症が疑われるその人は、そもそも薬物捜査を担当する警察官だった。画に描いたような“ミイラ取り”の末路には、同類の常習者と思しい女性共犯者の影。そして保釈中の身元を引き受けていた親族は、別の意味で同類の、具体的には同業の元警察官である可能性が高い。今月下旬に幕を開ける公判廷では、果たしてどこまでの事実が明かされるだろうか。(取材・文 小笠原 淳 1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。50歳)
 

薬物事件の容疑者は薬物捜査の警官だった

 ごく単純な事実関係を確認する問いに、部屋の主は「取材は受けられない」と明答を拒み続けた。
 札幌市豊平区。市営地下鉄の駅近くに建つマンションの一室が、その事件の現場となった可能性が高い。


 昨年10月10日夜、札幌中央警察署に勤める男性巡査部長(46)が覚醒剤所持で現行犯逮捕された。同日午後10時の北海道警察の発表によれば、逮捕場所は市内東区の路上。地元の警察担当記者らによると、覚醒剤は現場近くの郵便局に局留めで送られ、巡査部長がそれを受け取った直後の逮捕劇だったという。またその後の尿検査で覚醒剤の陽性反応が認められたといい、これによって道警は薬物使用についても立件、捜査を引き継いだ札幌地方検察庁は11月1日付で事件を起訴した。
 巡査部長を逮捕したのは、道警本部の薬物銃器対策課。彼自身の職場は、札幌中央署の薬物銃器対策課。覚醒剤事件を捜査する警察官が自ら覚醒剤に手を出し、同業者に検挙されたというわけだ。
 

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最初の逮捕は覚醒剤所持の現行犯。局留めの郵便で薬物を受け取った元巡査部長は、待機していた捜査車輌内で身柄を拘束されたという(札幌市東区)

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