裁判所、公文書の「隠し過ぎ」認める
最高裁、3年越しの前言撤回

2019年1月号

最高裁判所が“海苔の貼り過ぎ”を認めたのは、当初の開示請求の19カ月後だった(2018年11月1日付『補充理由説明書』)

不祥事記録“海苔弁”再検討。墨塗り300超「開示すべき」

最高裁判所は11月までに、裁判官や裁判所職員の不祥事を記録した公文書の開示に際し、本来開示されるべき情報を300カ所以上にわたって墨塗り処理していたことをあきらかにした。文書は2017年4月に本稿記者が請求、同12月に入手したもので、墨塗りを不服として記者が18年1月に審査請求(苦情申出)していた。最高裁事務総局によれば、同所は年明け以降、第三者機関の答申を待って開示のやり直しを検討するという。(取材・文 小笠原 淳)
 

請求受理から7カ月超。発表記録は「廃棄済み」

 裁判所への公文書開示請求を、「司法行政文書開示申出」という。本稿記者が最高裁判所にそれを申し出たのは、2017年4月のこと。目的は、前年の16年一年間に全国の裁判所関係者が処分を受けた不祥事の記録を入手することだった。
 記者は請求の時点で、各地の裁判所がどういう文書を作成しているのかを把握していない。そのため、最高裁が定める書式の「開示申出書」には請求内容を次のように記すことになった(※傍線は原文ママ)。
 
最高裁判所及び下級裁判所の裁判官及び裁判所職員の――、
➀ 平成28年の懲戒処分の概要がわかる文書すべて
➁ 平成28年の監督上の措置(訓戒・注意)の概要がわかる文書すべて
➂ 平成28年の懲戒処分及び監督上の措置各件の発表の有無がわかる文書すべて
 
 17年5月に請求を受理した最高裁は、同11月に懲戒処分の『処分説明書』など4種の文書計45枚(➀と➁)の「一部開示」を決定した。この時、同時に請求していた「発表の有無がわかる文書」(➂)については「廃棄済み」との理由で「不開示」が決定、のちに記者が申し立てた審査請求(苦情の申出)も奏功せず、文書の入手には到っていない。つまり、裁判官などの不祥事を「裁判所が公表したかどうか」は、国民には検証不能であることがあきらかになった(18年8月号既報)。

最高裁が自ら〝海苔〟の貼り過ぎを認めた部分は、45枚の文書で300カ所以上に上った(『補充理由説明書』に添附された「別表」)

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行政府と司法府の『処分説明書』を見較べると、後者では当事者の属性や処分内容はもちろん、日付まで不開示となっているのがわかる(左は警察庁が開示したもの、右は最高裁が開示したもの)

第三者機関の答申を待たず、唐突に「改めて検討」がなされることに(東京都千代田区の最高裁判所)

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