道警不祥事から考える〈30〉
「事故前の私に戻して」

2019年1月号

重傷轢き逃げ事件の捜査にあたった警察が発生3カ月後に逮捕したのは、現職の機動隊員だった(札幌市豊平区の札幌方面豊平警察署)

轢き逃げ被害者、悲痛の陳述。被告の元巡査長には猶予判決

現職警察官(当時)が起こした重傷轢き逃げ事件は11月中旬、被告の元道警機動隊巡査長への執行猶予判決に幕を閉じた。先立つ論告公判では全治3カ月超の被害を負った女性が意見陳述に立ち、無念の思いを口に載せている。実刑を逃がれた元巡査長は現在、道南の実家で親族とともに過ごしているようだ。起訴事実を認めつつ事故の認識を否定する主張を繰り返した彼は、被害女性の言葉をどう受け止めたのだろうか。 (取材・文 小笠原 淳)
 

「事故後の苦しみをわかっていない」

 札幌地方裁判所の法廷で、その女性(27)はおもむろに語り始めた。「事故から7カ月経った今でも、頭や腕の痛みが消えません」
 11月8日午前に行なわれた、元警察官による重傷轢き逃げ事件の論告公判。検察側の求刑に先立ち被害者として陳述に臨んだ女性は、事件後初めて公の場で胸の裡を明かすことになる。
「何よりも辛かったのは、自分を鏡に映した時の右眼の引きつりです。眼を動かす神経が切断され、眼球が下がっているためです。この切れた神経は再生不可能だと病院の先生に言われました」
 黒のスーツに身を包んだ男性(29)が、傍らの被告席でその人の言葉を浴び続ける。語られる「事故」のあった4月11日、彼は北海道警機動隊の巡査長だった。

元巡査長が事件の10日ほど前に入居した新築の賃貸アパートは、轢き逃げ現場から指呼の距離に建つ(札幌市豊平区)

通信大手元幹部の不動産投資詐欺を追う

野次排除事件から5年
国賠「半分勝訴」確定

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市が虐待認識を否定

道内初、ハイブリッドERを導入した札幌東徳洲会病院
3次救急に遜色ない体制で重症患者の救命率をアップ

北海道警は記者の開示請求に対し、『重要特異交通事故発生報告書』の「免脱罪」疑いの有無を墨塗り処理した(上は2016年3月に開示された別の轢き逃げ事件の記録、下は18年8月に開示された元巡査長の事件の記録)

元巡査長がその牛丼店で何を食べ、あるいは飲んだのか、公判では明かされていない(札幌市豊平区)

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北海道警は記者の開示請求に対し、『重要特異交通事故発生報告書』の「免脱罪」疑いの有無を墨塗り処理した(上は2016年3月に開示された別の轢き逃げ事件の記録、下は18年8月に開示された元巡査長の事件の記録)

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