函館消防・不正手当問題〈4〉
「組織ぐるみ」飽くまで否定

2019年11月号

不正受給の調査は、外部の第三者機関の眼が入ることなく半年間で終了した(函館市の函館市消防本部)

不正支給額1200万円超函館消防・夜間勤務の85%で

調査の結果がまとまるまで、不正の告発から半年以上の時間が費やされた。本誌6月号で初めて報じた、函館市消防の時間外手当不正受給問題。同市消防本部は9月末、内部調査の結果を報道発表、翌10月1日には消防長ら幹部職員が議会報告に臨んだ。明かされた金額は、計1200万円あまり。だがそれは飽くまで書類で裏づけられた事実に過ぎず、不正の全貌は確認不能のまま幕引きを迎えることになった。(取材・文=小笠原 淳)
 

不正総額、なお不明。告発半年後の幕引き

 
 延べ767人に、計1200万円あまり――。
 本年4月から時間外勤務手当の不正支給を調査してきた函館市消防本部(近ちかあらし嵐伸幸消防長)は、そう結論づけた。
 不正が確認できたのは、関係書類が残っている2015年度から18年度までの4年間ぶん。それ以前の記録は廃棄済みのため事実関係を確認できず、また調査可能な4年間についても書類を紛失している時期があり、一部の裏づけをとることができなかったという。つまるところ、実際の総支給額は今もってわからないまま。不正が始まったきっかけも、聴き取り調査を通じてある程度は推察できたものの、完全に特定するには到っていない。
「市民の皆さまの信頼を大きく裏切り、消防長として責任を痛感しております。心から深くお詫びを申し上げます」
 10月1日午前に招集された、市議会総務常任委員会の委員協議会。調査結果の報告を終えた後、近嵐消防長ら幹部職員は改めて頭を下げることになる。
 

不正は遅くとも2012年度には始まっていたが、記録で裏づけ可能なのは15年度以降の4年間のみ(9月30日付の報道発表資料)

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市消防は今後、シフト制の見直しやチェック体制の強化で再発防止をはかるという(10月1日午前、函館市の函館市議会第1委員会室)

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