首相批判封殺の波紋(3)
「事実確認」3カ月――

2019年11月号

北海道警の山岸直人本部長は「できるだけ早い時期に説明を」と述べつつ、「早い時期」がいつなのかは明言しなかった(9月25日午後、札幌市中央区の北海道議会本会議場)

議会答弁で法的根拠示せず。野次排除、道警の沈黙続く

「事実確認を継続中です」「中立性に疑念が抱かれたことは残念」「今後とも不偏不党かつ公平中正に」――。7月中旬に札幌で起こった、首相演説野次排除問題。その後3度にわたって議会に呼ばれ質問を受けた警察幹部らは、アナログレコードの針が飛んだような答弁をひたすら繰り返すことになる。問題が発生してから、まもなく3カ月。当事者らが声を挙げ続け、また第三者の告発や抗議声明なども続く中、強制排除の法的根拠は今もって示されないままだ。(取材・文 小笠原 淳)
 

当事者、議会でも“排除”。本部長は「確認中」反覆

 
「逃げるな。山岸、ちゃんと答えろ!」
 9月25日午後、北海道議会本会議場。安倍晋三総理大臣の街頭演説に野次を飛ばした人などを警察が強制排除した問題で、山岸直なおひと人・北海道警察本部長が議会答弁に立つのは、同日で3度めだった。その本部長が冒頭の怒声を受けたのは、菊地葉子議員(共産、小樽市)の一般質問を受けて「事実確認を継続しているところ」と説明し始めたさなかのこと。傍聴席から声を挙げたのは、7月15日の街頭演説で強制排除された札幌市北区のNPO職員・大杉雅栄さん(31)その人だった。
「お前の部下にやらせたことを、ちゃんと説明しろよ!」
 この15分ほど前、同じ話題で答弁に臨んだ鈴木直道・道知事に対しても、大杉さんは「現場にいたから知ってるだろう」などと野次を放ち、議場の警備員に制止されている。続く道警本部長への野次は、これを機に入場したと思われるスーツ姿の職員3人ほどが傍聴席に眼を光らせる中で放たれた。
「傍聴人に申し上げます。静粛に願います」
 村田憲俊議長(自民、後志管内)がそう呼びかけても、大杉さんの声は止まらない。
「ちゃんと説明しろ! 義務を果たさないのに、何が議会だ。こんなの茶番だ。地獄に堕ちろ!」
 

 

 

 

中和興産
幕が開いた「杉澤劇場」

ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンター動揺

自殺学生遺族陳述
江差パワハラ裁判で初弁論

自公大敗は本当に「政治とカネ」だけだったのか!?

議本会議終了後、山岸本部長の〝出待ち〟を試みた傍聴人も(9月25日夕、北海道議会)

野次排除を考えるシンポジウムには約100人が足を運んだ(9月7日夜、札幌市北区のエルプラザ)=左から元道警幹部の原田宏二さん、政治学者の朴権浩さん(韓国)、社会運動家の許仁碩さん(台湾)、排除当事者の大杉雅栄さん

当事者らのデモを無断撮影した警察は、弁護士の求めに応じず映像を持ち帰った(8月10日夕、札幌市中央区の北海警察本部前)

議本会議終了後、山岸本部長の〝出待ち〟を試みた傍聴人も(9月25日夕、北海道議会)

野次排除を考えるシンポジウムには約100人が足を運んだ(9月7日夜、札幌市北区のエルプラザ)=左から元道警幹部の原田宏二さん、政治学者の朴権浩さん(韓国)、社会運動家の許仁碩さん(台湾)、排除当事者の大杉雅栄さん

当事者らのデモを無断撮影した警察は、弁護士の求めに応じず映像を持ち帰った(8月10日夕、札幌市中央区の北海警察本部前)

 

 

 

中和興産
幕が開いた「杉澤劇場」

ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンター動揺

自殺学生遺族陳述
江差パワハラ裁判で初弁論

自公大敗は本当に「政治とカネ」だけだったのか!?

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.