首相批判封殺の波紋(2)
「事実関係を確認中です」

2019年10月号

当事者らが呼びかけた抗議デモには約150人が参加、1時間にわたって札幌中心部で声を挙げ続けた(8月10日夕、札幌市中央区)

野次排除、沈黙続ける道警。デモ無断撮影は「適正」主張

本誌前号で報告した、首相演説の野次排除問題。対応の適正性や排除の要件を問われている北海道警察は、その日から1カ月以上が過ぎてなお沈黙を貫き続け、「事実関係を確認中」と繰り返している。当事者らが起こした抗議デモでは、警察官が参加者を無断撮影するという新たな“事件”も発生、さらなる激しい抗議を招いた。もしも「時間が解決する」と高を括っていた警察幹部がいるとしたら、その読みは甘かったと言わざるを得ない。当事者の声が鎮まる兆しはないからだ。(取材・文 小笠原 淳)
 

排除、「組織的としか」抗議デモに150人

 
「警察、謝れ!」
「本部長、出てこい!」
 陽が沈み切った午後7時過ぎ。札幌市中央区の北海道警察本部庁舎前は、熱気と喧騒に包まれていた。閉じた鉄柵の前に押し寄せた老若男女が拳を振り上げ、プラカードを掲げながら咽喉を振り絞る。激しい抗議の理由を、警察はよくわかっていた筈だ。だが――、
 この光景の少し後、道警は火に油を注ぐ行為に及んだ。群衆を無断で撮影し続けた警察官たちは、撮影の要件を確認する問いに明答を返すことができず、一斉に「犯罪者!」の怒号を浴びることになる。



 札幌中心部で約150人がデモ行進を敢行したのは、本誌前号発売直前の8月10日夕のこと。安倍晋三総理大臣の選挙応援演説に野次を飛ばすなどした人たちが警察に「排除」された日から、まもなく1カ月が過ぎようとしていた。
「庶民がどんな生活をしてるのか、彼(安倍首相)には聴く機会がない。それに対し、ぼくたちはテレビとかを通じて彼の話を嫌でも聴かされるわけです」 (※カッコ内註は本誌=以下同)
 大通公園の噴水を背に、札幌市のNPO職員・大杉雅栄さん(31)がマイクを握る。首相演説の場から排除された当事者として、北海道警察の対応に抗議するデモ「ヤジも言えないこんな世の中じゃ…」を友人らとともに企画した。デモ行進に先立つ挨拶では、現政権への率直な疑問を述べている。
「ぼくは福祉の支援員をしていて、生活に困ってる人の相談を受けたりするんです。『お金がない、どうしよう』と、5000円とか3000円のお金に困ってるという話を聴いてる時に、ろくに何も考えず、墜落しまくるF35戦闘機を100機、1兆円で買いましたとか言われると、ぶっ飛ばしたくなるわけです」
 

警察の警備態勢を解説した元道警幹部の原田宏二さんは、自らも公安警察に尾行された経験があるという(8月10日夕、札幌市中央区の大通公園)

中央の警察庁は、全国の警察本部などに宛てた警備局長通達に「接近を阻止」などと明記している(6月26日付『第25回参議院議員通常選挙における警備諸対策について』)

遅れる移転計画
課題山積み北海道医療大の北広島移転

厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄問題を追う

江差パワハラ死問題で交渉決裂
道「因果関係」否定貫く

つしま医療福祉グループ 「ノテ幸栄の里」が新築移転
地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

札幌・函館・旭川・釧路の4 弁護士会を束ねる連合会は八木宏樹理事長(右手前)の名で声明を発表、早急な事実説明などを道警に求めた(9月2日夕、札幌市内)

開かれた場での請願・苦情の求めを道警側が拒否したことで、庁舎前に大ブーイングが沸き起こった(8月10日夜、札幌市中央区の北海道警察本部前)

デモ参加者を無断撮影していた警察官は複数いたことがわかっている(いずれも8月10日夜、札幌市中央区の北海道庁本館庁舎近く)海道警察本部前)

警察の警備態勢を解説した元道警幹部の原田宏二さんは、自らも公安警察に尾行された経験があるという(8月10日夕、札幌市中央区の大通公園)

札幌・函館・旭川・釧路の4 弁護士会を束ねる連合会は八木宏樹理事長(右手前)の名で声明を発表、早急な事実説明などを道警に求めた(9月2日夕、札幌市内)

中央の警察庁は、全国の警察本部などに宛てた警備局長通達に「接近を阻止」などと明記している(6月26日付『第25回参議院議員通常選挙における警備諸対策について』)

開かれた場での請願・苦情の求めを道警側が拒否したことで、庁舎前に大ブーイングが沸き起こった(8月10日夜、札幌市中央区の北海道警察本部前)

デモ参加者を無断撮影していた警察官は複数いたことがわかっている(いずれも8月10日夜、札幌市中央区の北海道庁本館庁舎近く)海道警察本部前)

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