互助会最大手で組合潰しの疑い
「正社員」1%未満――

2019年10月号

ベルコの労働問題をめぐっては複数の訴訟が提起され、一部では控訴審が始まっている(8月22日午後、札幌高等裁判所前)

冠婚葬祭大手ベルコで労使問題。雇用契約せず使用者責任逃がれ

会員から事前に掛金を預かって葬儀などを引き受ける冠婚葬祭互助会。その最大手にして創立半世紀を迎えた業界の雄が今、労使問題に揺れている。北海道の従業員が初めて労働組合を立ち上げた直後、関係者らが軒並み“解雇”される事態が起きたのだ。典型的な「組合潰し」と言ってよい対応だが、のちに司法と行政の場で問われた争いで、驚くべき事実が明かされることになる。即ち、社員は「社員」に非ず――。(取材・文=小笠原 淳)
 

全国各地に7000人99%が「社員ではない」

 
 本年4月に創業50周年を迎えた冠婚葬祭互助会のベルコ(池田市、齋藤秀麻呂社長)で労働組合設立の話が持ち上がったのは、2014年暮れのこと。声を上げたのは、札幌の従業員たちだった。
「入社してすぐ『ここはおかしい』と思いましたよ。ノルマが半端でない上、残業や休日出勤などの手当ても出ない。何よりも、従業員の多くが書類上は会社と雇用関係にないっていうんですから」
 全ベルコ労働組合(札幌市西区、髙橋功執行委員長)で書記長を務める札幌市の男性(61)は、憤りとともにそう語る。2008年4月にベルコに“就職”し、葬儀担当スタッフとして手稲区の支部(代理店)に籍を置いていたが、雇用主はベルコではなく、代理店を切り盛りする上司だった。
「その店長も、やはり社員ではありません。『業務委託』で仕事を請け負っているという建前なんです。…なのに本社からは『異動』の辞令が出たりする。つまりベルコは、従業員を事実上社員として扱いつつ、使用者責任を逃がれることができているんです」
 大阪・池田市の「本部・本店」と、札幌など全国35カ所の「支社」、さらにその下に設けられる支部代理店に勤める約7000人の従業員のうち、正社員は35人ほど(1%未満)。残る99%、即ちベルコの名刺を持ってベルコの店舗に勤務している人たちのほとんど全員が、書類上はベルコの社員ではないとい
うのだ。
 

「裁判所は判決の社会的影響を考えるべきだった」と、淺野高宏弁護士(札幌市内)

北海道労働委員会が公開している救済命令では、ベルコは「使用者」とされている(6月13日付『命令書』)

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2016年ごろに作成された内部資料によれば当時の「正社員」は32人で、現在も40人に届いていないとされる

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