10億円以上の高額物件専門の「ワールドスター不動産」
逆境をバネに掴んだ不動産業での成功 世界の投資マネーを北海道に呼び込む

2018年9月号

新たな事務所で取材に応じる長谷川代表(札幌駅前合同ビル7階のオフィスで)

Business Interview

10億円以上の高額不動産を専門に仲介する「ワールドスター不動産」(長谷川傑代表取締役・44)が札幌に設立されてから1年半、同社が驚愕のロケットスタートを見せている。全国各地から物件売却の依頼が殺到し、その総額は既に1兆円超え。同時に不動産を買い求める投資会社からの引き合いも増え、好循環が止まらない状況だ。海外の不動産投資会社に豊富な人脈を築いてきた長谷川代表が、北海道で形成を目指す売買マーケットは確実に広がりを見せている。東京の不動産市場が飽和状態に達した昨今、海外の投資会社の目は北海道、中でも札幌に向かっている。その受け皿になるべくJR札幌駅前に事務所を移転し、新たなステージに踏み出した長谷川代表に、今後の戦略とこれまでの歩みを訊いた。(7月13日取材)
 

ジョージ・ソロスと提携し投資に邁進した過去の実績

 ──まずは、あらためて経歴を教えて下さい。
 長谷川 私は札幌西高校から青山学院大学に進学し、卒業後に不動産鑑定士試験に合格しました。不動産鑑定士試験は司法試験、公認会計士試験と並んで三大国家試験と言われるほど難易度の高い試験で、不動産系資格の最高峰とも言われています。不動産鑑定士は不動産の経済価値を判定する高度な専門家です。毎年全国で100人程度の合格者が輩出されていますが、道内出身の合格者は年に1人出るかどうかの狭き門です。
 不動産鑑定士試験合格後は東京の不動産コンサルティング会社に勤務し、後に世界史上最大の倒産と世界的金融危機、リーマン・ショックを引き起こすことになる米リーマン・ブラザーズ社を担当。投資助言業務に従事しました。
 その後に勤務した不動産投資会社リサ・パートナーズでは、個人資産が約3兆円にものぼる世界的な投資家、ジョージ・ソロス氏と提携し、日本の高額不動産に共同投資を行ないました。

 ──ジョージ・ソロス氏と言えば、1992年に発生したポンド危機において為替の安定を目指し自国通貨を必死に買い支えるイングランド銀行(イギリス政府)に完膚なきまでの売り浴びせを仕掛け、「イングランド銀行を破産させた男」として一躍有名となった人物ですね。
 長谷川 その通りです。その後には、米投資ファンド「サーベラス」の傘下にあったあおぞら銀行で海外・国内の不動産投資会社向けに1件あたり数十億円規模の不動産融資(ノンリコースローン)を多数実施し、全世界の不動産投資会社に人脈を構築することに成功しました。
 さらに、米コリアーズ・インターナショナルと提携している谷澤総合鑑定所では海外・国内の不動産投資会社向けに1件当たりの評価額が数億円から数百億円の不動産鑑定評価を多数行ないました。同社在籍時に執筆した著書「事業用不動産等のマーケット分析と評価(清文社、共著)」(税込3240円)は現在も全国の大型書店で売られています。

 ──時代を象徴するような世界的なプレーヤーと共に仕事をされてきた。そんな長谷川さんが札幌に会社を設立した狙いは。
 長谷川 ご説明したように、私はこれまで海外の不動産投資会社と太いパイプを築いてきました。そのキャリアを札幌で活かそうとこの事業をスタートさせたのです。不動産のグローバル化が進む中、北海道、札幌には海外の不動産投資会社に人脈を持つ不動産のプロフェッショナルがいないのではないかと東京で働きながら思っておりました。
 私の感覚では、資金力に優る海外の不動産投資会社は日本の投資会社よりも約2割程度高値で不動産を購入しています。北海道、札幌の優良不動産を海外の不動産投資会社に高値で買ってもらい、北海道の不動産業界に活気を与えたいと思ったのがこの会社を設立した動機です。

 ──今年の5月、事務所をJR札幌駅前のビルに移転しました。
 長谷川 何よりお客さまの利便性を考えてのことです。海外の不動産投資会社担当者の多くは新千歳空港に着き、快速エアポートでJR札幌駅に来ます。弊社の事務所は、そのJR札幌駅の目の前、巨大なオーロラビジョンが付いたビルにありますから、わかりやすいですし、彼らにとっても便利で面談がしやすい。今後もこちらの物件を目当てに海外の不動産投資会社が相当来道すると思います。その中で「札幌の物件は、長谷川に相談しよう」と思ってくれれば嬉しいですね。
 

JR札幌駅に隣接する抜群の立地環境(写真右側が札幌駅前合同ビル)

札幌の不動産マーケットの可能性を語る長谷川代表

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売り手を満足させる買い手を世界から探すのが自分の役割

 ──これまで扱ってきた物件は。
 長谷川 10億円以上の高額不動産に限定すると、事務所ビル、商業施設、ホテル、賃貸マンションなどこれまでに150物件程度の売却依頼がありました。J-REITや私募ファンドの出口案件も扱っています。これらは売却済を除き、現在も進行中です。弊社は直近の4カ月間で10億円以上の大型案件3件を成約させています。
 不動産仲介業の報酬である仲介手数料は、売主から売却依頼を受け買主も自分で見つけた場合では売買価格の約6%が上限となっております。ですから不動産仲介業というのは、例えば10億円の案件を1件成約させるだけで最大で約6千万円も儲かる夢のある仕事なのです。

 ──手がける事業にどのような意義を感じていますか。
 長谷川 地元の不動産オーナーは少しでも高値で売却したいという思いがあり、彼らにとってそこが一番重要なポイントです。しかし、本当にお金を持っている投資家に打診しなければ満足する価格では売れません。道内だけで完結しようと思ってもとても実現できない。あふれんばかりの資金力を誇る海外の不動産投資会社に高い値段で買ってもらうのが本来の姿だと思います。弊社がその役割を果たすことに、最も意義とやりがいを感じています。

 ──そんな長谷川代表は、決して裕福な家庭で育ったわけではない。
 長谷川 私の両親はともに道北の美深町の出身で、父は中学卒業後、親を継いで米作りの農家を営んでおりました。しかし、当時の日本は米が生産過剰で余り、減反政策が盛んに行なわれていた頃。父は私が生まれる数年前に農家を廃業し、僅かな補償金を手に絶望感を抱きながら札幌にやってきたといいます。父はその後、建設現場で力仕事に従事し、母は病院の厨房で働いて家族を養ってくれました。
 私の方はというと、恥ずかしい限りですが、元々頭が悪いこともあり、高校では学年最下位の常連で偏差値は20台。学力テストでは全国で最低レベルの成績になってしまうなど、合格できる大学なんてあるわけがないという落ちこぼれでした。当然ながら大学受験にも失敗した。
 しかし、そんな私に両親は1年間浪人することを許してくれた。私を見捨てずに学業を続けさせてくれた両親の思いが私の心に火をつけ、猛勉強の甲斐もあり浪人時代に偏差値を60台まで上げることができました。そして経済的に苦しい中で両親は私を東京の青山学院大学に進学させてくれた。この事は今でも感謝の念に堪えません。その時から、将来は必ずや出世して両親の思いに応えようと心に誓いました。

 ──それ以後、難関である不動産鑑定士試験に3度チャレンジした。
 長谷川 不合格続きでしたが、それでも1日22時間の猛勉強に耐えて4回目のチャレンジで合格することができた。睡魔に勝つためにコーヒーの粉をこれ以上溶けないというほどお湯に溶かして胃に流し込みましたが、疲労感だけはどうやっても解消しなかった。疲労困憊で衰弱しながらようやく掴んだ合格でした。父はすでに亡くなりましたが、不動産鑑定士試験に合格する姿を見せることができたのが唯一の救いです。

 ──今後の不動産業界のトレンドについては。
 長谷川 オフバランス化への需要増を予測しています。オフバランス化というのは、企業が財務体質の改善を目的に不動産資産を貸借対照表から外すことです。これにより金融機関からの評価を高めることができます。所有権は手放すことになりますが、適正な家賃を払うことにより運営は継続できます。
 売却により資金が潤沢になる利点もあり、その資金で設備投資をすることや新たな土地建物を取得して拠点を増やすこともできますので『攻めのスキーム』として利用することも可能です。
 必ずしも土地建物の所有にはこだわらず、運営さえ継続できれば良いと考える病院や高齢者住宅、物流倉庫などが対象となります。弊社はこれらの物件を購入したいという投資家を多く抱えております。是非ご相談下さい。

 ──本日はありがとうございました。ますますの活躍を期待します。

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