道警不祥事から考える〈26〉轢き逃げ犯は警察官だった

2018年9月号

轢き逃げ事件を起こした巡査長は3年前から機動隊に所属、事件後も普通に出勤し続けていたという(昨年9月6日午前、札幌市東区で行なわれた「北海道警察視閲式」に参加する道警機動隊員たち)

重傷被害者放置して逃走
無申告のまま勤務3カ月

本号が店頭に並ぶころには、起訴・不起訴の別が決まっていることになる。本年4月に札幌市の住宅街で起きた轢き逃げ事件で、北海道警は発生3カ月後に容疑者を逮捕・送検した。現場近くに住む女性を車で轢ね、頭と腕に大怪我を負わせたまま逃走していたのは、機動隊に勤務する28歳の男性巡査長。本誌がこれまで指摘してきた複数の未発表轢き逃げ事件とは異なり、道警は今回、身内の犯罪を自ら公表することになった。同時期に開示された本年上半期の不祥事報告と併せ、現時点でわかっている事実を記録しておく。
 

発生3カ月後の逮捕
未発表事案との違いは

 その人の1年ほど前に採用された現職警察官の1人は「あり得るパターンです」と苦笑する。
「犯人はおそらく早い時期に特定できていた。発表のタイミングをはかるのに時間がかかったということでしょう」
 本年4月11日に起きた重傷轢き逃げ事件の容疑者が逮捕されたのは、発生から3カ月以上が過ぎた7月17日のこと。札幌市中央区の北海道警察本部では同日の午後5時から記者クラブ加盟社のみを対象とした会見が設けられ、「過失運転致傷並びに道路交通法違反事件」の概要を記した『報道メモ』が提供された。
《(容疑者は)普通自動車を運転中、被害者に衝突させて礫過する事故を起こしたのに、救護措置等をとることなく逃走したもの》
(※カッコ内註は本誌)
 その『メモ』には、容疑者の職業が次のように記されている。
《地方公務員(警察官)》

現場は閑静な住宅街を走る直線道路。写真右奥の車道上に被害者女性が倒れていたという(札幌市豊平区)

轢き逃げをした警察官へのペナルティは「免職又は停職」の懲戒処分が適当ということになっている(警察庁『懲戒処分の指針』)

本年上半期の懲戒処分は半数以上が報道発表されたが、懲戒に到らない監督上の措置は多くが未発表のままと考えられる(北海道警察が開示した『平成30年懲戒処分一覧』)

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警備・公安部門の職員は、治安警備や要人警護などをおもな任務としている(8月3日夕、札幌市中央区で天皇・皇后の行幸啓を警備する職員ら)

被害女性は事件後、SNSを通じて知人などに安否情報を発信していた(4月26日付「LINE」投稿)※画像加工は本誌

本号発売前には巡査長の起訴の有無が決まっていることになる(7月19日午前、札幌市西区の留置施設から巡査長を乗せて検察庁に向かう車輌)

現場は閑静な住宅街を走る直線道路。写真右奥の車道上に被害者女性が倒れていたという(札幌市豊平区)

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被害女性は事件後、SNSを通じて知人などに安否情報を発信していた(4月26日付「LINE」投稿)※画像加工は本誌

本号発売前には巡査長の起訴の有無が決まっていることになる(7月19日午前、札幌市西区の留置施設から巡査長を乗せて検察庁に向かう車輌)

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