市内港町6丁目にある紋別漁協本部
議長の座を狙い業者に不当な圧力か
本誌が昨年から今年にかけて“名ばかり組合員”の件を報じてきた紋別漁業協同組合で新たな問題が噴き出した。この春、阿部滋氏から組合長のバトンを受けた飯田弘明氏(67)が今夏の市議選にからんで漁協の取引業者に不当な圧力をかけ、道警の捜査対象となっていたというのだ。紋別の浜でいったい何が起きていたのか─。(本誌編集長・工藤年泰)
「情報提供を受けて、我が社をはじめ各局が紋別に入っていたんですが、捜査していた警察に確認したところ、まだ(逮捕などの)動きはないようなので、ひとまず撤収することにしました」
8月中旬、こんな電話が民放テレビ局に所属する旧知の担当者から記者にかかってきた。
何かが現地で起きている感触は少なからずあった。春先以降、本誌にも投書やメールによる紋別関係の“タレ込み”が多くなっていたからだ。それらは、紋別漁協の新組合長に選出された飯田弘明氏に関する事柄が大半を占めるもの。春先に行なわれた漁協の理事選や組合長選、さらに7月22日に投開票された紋別市議会議員選挙における同氏の多数派工作を告発する内容だ。
飯田組合長はかねてから紋別市議でもあり、今夏の市議選で7回目の再選を果たしたが、長年の悲願だった議長ポストは1票差で逃した経緯がある
先の電話の主によれば、その市議選にからんだ飯田氏の言動が恐喝や公職選挙法違反に当たる疑いを持たれ、道警の捜査対象となったという。水揚高約100億円という道内有数の漁協トップが刑事事件で疑いの目を向けられるとは穏やかではない。道警が捜査の腰を上げた飯田氏の一連の行動とは、どのようなものだったのか─。