札幌佐藤病院グループの老人ホーム「スリール しあわせ館」がオープン
家族で一緒に看取りを

2024年10月号

住宅型有料老人ホーム「スリール しあわせ館」(札幌市東区伏古10条3丁目11-18)

Welfare Report

「しあわせな最期」を家族と

 家族が一緒に入居者の看取りをできる広い居室を備えた住宅型有料老人ホーム「スリール しあわせ館」(能代谷智枝子施設長)が9月1日、札幌市東区伏古にオープンした。施設には家族葬ができる部屋も用意され、看取りから出棺までを施設内で行なえるユニークさが特徴だ。運営は、医療法人社団大蔵会 札幌佐藤病院(佐藤亮藏理事長)のグループ企業、株式会社大蔵商事(藤田昌人社長)。これまで大蔵商事は、札幌市内で「スリール 大学村館」(※スリールは仏語のスマイル)や「絆・三角点通り館」など10数カ所の高齢者対応住宅を展開。そうした中、病院ではなく施設で最期を迎えたいと希望するケースが増えているという。
「最近は、ご本人だけではなく、長年住み慣れた施設で最期を迎えられるようにしてあげたいと考えるご家族も増えています」と話すのは大蔵商事の新田里奈・統括施設長。
 その場合、課題になるのは一般的に居室がそれほど広くないこと。本人の最期が近くなると、家族が何日間かを一緒に過ごすことが多くなるが、人数が多いと同じ部屋に寝泊りすることが難しく、ホテルなどを利用せざるを得ない。このため最期に間に合わないケースも少なくない。
 今回、開設した「スリールしあわせ館」は、36室の居室(17平方メートル)以外に本人と家族が一緒に過ごせる部屋を2室(32・40平方メートルと37・08平方メートル)設け、そこに寝泊まりしながら看取りができるようにした。このような家族居室を設けた有料老人ホームは、全国的にも珍しいという。
 家族居室はそれぞれ入居者以外のベッドをはじめ冷蔵庫、キッチン、浴室などを備えており、自宅にいるような空間で本人と一緒に過ごし最期を看取ることができる。
「キッチンで料理を作っている音が入居者の耳に届き、まるで自宅にいるかのような安らかな気持ちになれると思います」(新田統括施設長)
 先述のように家族葬を執り行なえるミニ斎場も用意されていることから、施設から離れた斎場を手配する煩わしさもない。
「スリール しあわせ館」の能代谷智枝子施設長は、民間の看取り士資格を持ち、これまでグループホームや高齢者対応住宅で100人近くの入居者を看取ってきたという。
「今回、札幌佐藤病院の佐藤亮藏先生の強い思いでこのような施設をオープンすることができました。私は、戦中戦後と苦労してきた人たちの最期がこんなことでいいのだろうかという経験を多くしてきました。さまざまな人生を歩んでこられた方々に何ができるだろうかと自問自答する日々。身体をさすってあげたりお話を聞き、安心して最期を迎えてもらうのが私たちのできること。家族と一緒に看取りが出来るこの老人ホームで、入居者の方々に『私の人生は良かったな』と思える支援をしていきたい」(能代谷施設長)
 施設にはスタッフ約20人が常駐し、医療機関や介護福祉サービス事業所との連絡調整や家族との連絡も行なう。24時間対応の訪問看護ステーションが併設されており、訪問看護も利用できる。食事は朝、昼、夕の3食が提供され、全室にエアコン、スプリンクラーを完備している。
 費用は家賃と食材料費、水道・光熱費、共益費合計で1カ月11万1千円から。家族居室は入居者の看取り介護が開始されてから利用可能だ。

 (佐久間康介・工藤年泰)

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※費用や入居に関する詳細は「スリール しあわせ館」☎︎ 011-374-6162、または「大蔵商事」☎︎ 011-768-8833 まで

入居者と過ごせる広々とした家族居室

葬儀の斎場として利用可能な談話室
(左から新田里奈統括施設長、能代谷智枝子施設長)

入居者と過ごせる広々とした家族居室

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(左から新田里奈統括施設長、能代谷智枝子施設長)

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