北広島の小児科医が地元に恩返し
Fビレッジこどもクリニック開業
地域の小児科不足を解決する一助に

2024年10月号

「Fビレッジこどもクリニック」の鎌﨑穂高院長

Medical Report

野球観戦などで賑わう北広島の「北海道ボールパークFビレッジ」。8月1日、このボールパーク内のサ高住「マスターズヴェラス」に併設された医療モール「Fビレッジ メディカルスクエア」でオープンした小児科が医療法人社団UHN「Fビレッジこどもクリニック」だ。院長は北広島をホームタウンとして長年過ごしてきた鎌﨑穂高医師(59)。その北広島は小児科の不足が地域課題となっており、今回の開院はその解決の一助として期待される。開業に至った経緯や意気込みを鎌﨑院長に訊いた。

(8月23日取材 工藤年泰・髙橋貴充)

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“世のため、人のため”が原点


 1964年11月に北見市に生まれ、その後は長らく北広島市を生活拠点としてきた鎌﨑穂高院長。
 一般的なサラリーマン家庭で過ごしたという同氏が医師を志したのは、青春期からの“世のため、人のために尽くせる仕事に就きたい”との強い思いから。そんな思いを胸に札幌医科大学で学び、数多の診療科の中から選択したのが小児科だった。
「小児医療は、診療報酬の側面をはじめ、身体のどこが痛いのか苦しいのかをお子さん自身がなかなか伝えられないなどということもあって、ある意味では大変な診療科です。ですが、だからこそやりがいがあり、学ぶことも尽きない。この分野に将来を捧げ、子どもたちのあらゆる疾患に対応できるよう、日々勉強も続けていくという決意で小児科医療を選びました」(鎌﨑院長)
 大学卒業後はさまざまな医療機関で小児科一般診療に従事したほか内分泌代謝分野でも研鑽を積み、専門外来では、のべ年間2千人を超える子どもたちを診察してきた。現在は医学博士、日本小児科学会認定 小児科専門医・指導医、日本内分泌学会認定 内分泌代謝科(小児科)専門医・指導医などの専門医資格を有している。
「なかには10万人にひとりという確率の難病と闘う子どもたちもいて、命の尊さを突き付けられることも多々ありました」(鎌﨑院長)
 小児科医として臨床経験が豊富な鎌﨑院長だが、今回のFビレッジでの開業というチャレンジは、未知の領域。だが、人生で縁が深かった北広島への恩返し、加えて地域が小児科不足に悩んでいるということで、“世のため、人のため”という原点の思いが何より背中を押した。
「Fビレッジこどもクリニック」のモットーは、「健やかな笑顔を守る」「心配や不安を安心に変える」こと。方向性としては一般診療をベースに、専門性も無理なく取り入れていき成長発育(低身長)と夜尿症の専門外来も実施する。生後2カ月の乳児に向けたワクチンデビュー外来や、学童保育を利用しているお子さん向けに夕方ワクチンタイムを設けるなど予防接種にも注力する。
「これからの小児科はアウトリーチ(院外活動)にも力を入れていくべき」との考えから、養護教諭や保健士に向けた勉強会などを現在企画中とのこと。市からは来年度の乳幼児健診の要望も受けているという。今後はメディカルスクエア内の医療機関や薬局、北広島市内にあるさまざまな社会資源との連携によるシナジー(相乗効果)が生まれることが期待される。
「健康面をはじめ、子どもたちのさまざまな困り事を解決する窓口になっていきたい。子どものことで悩む親御さんもフォローしながら地域になくてはならない、愛されるクリニックになるのが目標です」と、鎌﨑院長は力を込める。
 鎌﨑院長の小児科は、調剤薬局事業などを展開するミライシアホールディング(札幌市・神山武士社長)が運営する「Fビレッジ メディカルスクエア」に入居するクリニックのひとつ。8月1日には内科や整形外科のクリニック、ミライシアHDの調剤薬局も同時オープンしている。
 駐車場は48台分が利用可能(メディカルスクエア利用者は無料)。クルマであればJR札幌駅から約40分、バスならJR北広島駅から5分というアクセス環境になっている。
 北広島のボールパークに誕生した「Fビレッジこどもクリニック」の今後に期待したい。

松本剛選手とのコラボ身長計が目印の
Fビレッジこどもクリニック
北広島市Fビレッジ21番
☎︎011-378-4710(総合案内)

イラストとビビッドなカラーの待合室が子どもたちを迎える

待合室と診察室は、感染対策で発熱患者と一般患者を分けているので安心して受診できる

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