地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援
つしま医療福祉グループ原点の特養「ノテ幸栄の里」が新築移転

2024年05月号

地域の期待を集めて移転新築した「ノテ幸栄の里」(札幌市豊平区月寒東1条13丁目4-58)

Medical Report

つしま医療福祉グループ(札幌市・対馬徳昭代表)の中核、社会福祉法人「ノテ福祉会」(同理事長)が、法人発祥の原点と言える特別養護老人ホーム「ノテ幸栄の里」(札幌市豊平区月寒)の移転新築を果たし、前後して南区に同じく特養の「ノテ石山」がオープンした。特養は同グループが展開している地域包括ケアシステムの拠点に位置付けている重要施設で、短期入所のショートステイや居宅介護事業も組み込み、住み慣れた地域での高齢者の暮らしを支えている。介護福祉で全国をリードする、つしま医療福祉グループの現在地をレポートする。

(3月25日取材 工藤年泰)

対馬徳昭グループ代表

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つしま医療福祉グループ 「ノテ幸栄の里」が新築移転
地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

南区でも特養を初開設


 ノテ福祉会は、介護が必要となった高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる「地域包括ケアシステム」を全国に先駆けて展開したことで知られる。各特養を「ノテ地域包括ケア」の拠点として位置づけ、ショートステイや看護小規模多機能型居宅介護などを駆使して在宅介護を支援してきた。これらの取り組みは事実上、我が国の介護福祉のモデルになっている。
 ノテ福祉会の創業者でグループ代表の対馬徳昭氏による介護事業は、1980年代半ばに豊平区月寒の地で始まった。
「4月1日にオープンしたノテ幸栄の里は40年間、月寒小学校に通う子供達の笑い声に包まれ、月寒神社に見守られながら運営してきた思い出深い施設。今回のオープンは、そこを移転新築したものです」(対馬代表、以下同)
 新たな「ノテ幸栄の里」は国道36号線沿いで、地下鉄東豊線福住駅2番出口の隣に立地。ここまで公共交通機関のアクセスがいい特養は、札幌市内にそうそうない。入所定員100名、ショートステイ20名で規模は市内最大級。在宅生活を送る高齢者に対して訪問・通い・泊まりと柔軟なサービスを提供し、医療ニーズにも応えられる看護小規模多機能型居宅介護も併設している。
 これに先立ち南区で3月19日にオープンしたのが同じく特養の「ノテ石山」。定山渓温泉に向かう国道230号線沿い、市内中心部から車で30分程度の場所に立地している。入所定員は幸栄の里と同じ100名でショートステイ20名のほか、在宅の高齢者に訪問・通い・泊まりと柔軟なサービスを提供する小規模多機能型居宅介護も併設している。地上7階建の建物は窓が多く開放感に溢れ、春には河川敷越しに豊かな緑を、夏には札幌の風物詩である豊平川の花火大会、秋には紅葉など四季折々の景観を楽しむことが出来る。
 札幌、仙台、東京で介護事業を展開するノテ福祉会の事業所は、これらで90カ所となり、グループ傘下の社会福祉法人 日本介護事業団と併せれば107施設、職員数は2500名を超える。
 特別養護老人ホームを核とした地域包括ケアにより在宅の中重度の要介護高齢者の生活を支える「ノテ地域包括ケアシステム」。国内外から評価を受けるこのシステムの、さらなる深化と進化に取り組んでいるのが、今のノテ福祉会、つしま医療福祉グループだ。
 昨今、少子高齢化が進む中で、社会を取り巻く環境や情勢がさまざまに変容し、これまでの社会保障に関係する制度自体が多くの課題を抱えるようになった。多くの業界がそうであるように、介護業界においても人材の確保は容易ではない。
 現在84名の外国人技能実習生が働いているノテ福祉会では今年、外国人キャリアサポートセンターを立ち上げ、これから毎年ミャンマーから50名の実習生を迎える計画だ。
 働いている技能実習生は、昨年までに13名が介護福祉士国家資格を取得し、合格率は60%。今後は、ともに介護を担う外国人をサポートする体制をいっそう強化していく考えだ。
「実習生たちは、おしなべて努力家で勉強熱心、そして何より誠実です。
 時代は変化していますが、社会はますます私たちを必要としていると感じています。それは、人の役に立てるチャンスが増えるということ。これからもノテ福祉会は、社会福祉法人としての役割、使命を全力で果たしていきたいと思っています」


 ノテ福祉会が運営する在宅看護に関わる介護事業所からは、利用者の状況が常に特養にフィードバックされており、在宅での暮らしが難しくなったら然るべきタイミングで入所を促す体制が取れている。
 特養を増やすのは、利用者が自宅で安心して暮らしてもらうために他ならない──。ノテ福祉会の原点である特養「ノテ幸栄の里」、そして初めて南区に開設した特養「ノテ石山」の今後に注目したい。

南区の拠点として期待される特養「ノテ石山」(札幌市南区石山1条6丁目17-33)

対馬徳昭グループ代表

南区の拠点として期待される特養「ノテ石山」(札幌市南区石山1条6丁目17-33)

遅れる移転計画
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