札幌ハートセンター・藤田勉理事長に訊く
5月に豊平にもサテライトを開設 分院を網羅して札幌全域をカバー
未来を見据えて采配を振るう藤田理事長
(ふじた・つとむ)1961年稚内市出身。86年旭川医科大学医学部卒業。札幌徳洲会病院、国立循環センターなどを経て90年札幌東徳洲会病院に勤務。同病院副院長兼循環器センター長、院長代行などを歴任。2008年札幌心臓血管クリニックを開院、11年に医療法人化し札幌ハートセンター理事長に就任。22年7月に初の分院となる新札幌心臓血管クリニックを開院。日本内科学会認定医、日本救急医学学会専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医、日本心血管インターベンション治療学会指導医。62歳
Medical Report
全国有数の循環器専門病院、札幌心臓血管クリニック(東区・104床)を運営する医療法人札幌ハートセンター(藤田勉理事長)が24年5月、2つ目のサテライト診療所を豊平区内に開設する。22年7月には、JR新札幌駅近くの医療モールに初の分院「新札幌心臓血管クリニック」(厚別区)を開設。循環器分野が手薄だった同地域で手厚い医療を展開しており、豊平区への新たな分院配置で市内全域をカバーすることに期待がかかる。藤田理事長に抱負と札幌ハートセンターの今後の展開を訊いた。
(11月28日取材 工藤年泰・武智敦子)
広がる診療ネットワーク
──厚別区に続き、来年の5月1日には豊平区に第2のサテライトクリニック「札幌心臓血管クリニックとよひら」をオープンされる。
藤田 場所は豊平区役所が目の前の環状通り沿い。厚別同様に外来と検査を主体にしたクリニックにして手術が必要な患者さんについては東区の本院で対応します。本院を中心に厚別区、そして新しいサテライトを豊平区に開くことで札幌全域をカバーできると考えています。現在、新札幌心臓血管クリニックの大川洋平院長が豊平の院長に就き、新札幌には別の医師が院長として着任する予定です。
──厚別での開院から1年以上経ちましたが、藤田理事長が日曜日に外来を診るなど意欲的な取り組みをされてきた。
藤田 厚別経由で本院で対応した患者さんはこれまで30~40人に上ります。東区と異なり、厚別周辺は循環器の専門病院がないため重篤化した患者さんが多い印象があります。アクセスは市営地下鉄以外にJRも使えるので室蘭や白老からも患者さんが来られる。11月末にオープンしたJRと地下鉄直結の商業施設「BiVi新さっぽろ」で、来年1月に医療講演会を行なう予定で、さらに周知を図っていきます。
──5年後の2028年をメドに本院の移転新築を計画し、すでに地下鉄東豊線栄町駅周辺で土地を確保されている。
藤田 敷地は現在の2倍あり、狭隘だった院内環境の改善のほかアクセスも格段に良くなる予定です。新病院は高度先進医療はもちろん患者さんのアメニティにもこだわりたい。病床も200床程度にまで増床を図る考えです。
──現在の本院の扱いについては。
藤田 透析と心臓リハビリに特化した施設として残そうと考えています。この心臓リハビリについては、スポーツジムを組み合わせたフィットネスジムを別につくるつもりです。いま考えている第1の候補が「新札幌心臓血管クリニック」が入っている「Dスクエア新さっぽろ」の2階で、心臓リハビリができてなおかつ一般の人も利用できるような施設をイメージしています。
海外では心臓リハビリのニーズが高く、高い料金を払ってでも利用する人が多い。この件では年明けに視察で香港へ行くので、それからの始動です。海外といえば、インドネシアの国立循環器病センター「ハラパンキタ総合病院」とも提携しており、医師2人が毎年本院にやってきてトレーニングを受けています。
──藤田理事長は常にグローバルな視点と患者にとって最善を考え医療に取り組んでいる。2019年には手術支援ロボット、ダヴィンチを道内初の心臓血管分野で導入された。
藤田 これにより弁膜症などの低侵襲手術がより進化し、22年から本院はダヴィンチ手術の見学認定施設になっています。いずれ大動脈瘤などもダヴィンチで手術ができるようになるかもしれません。
──今年はご自身も病気をされ、患者の気持ちが一層分かったと。
藤田 2月に軟部肉腫で手術を受けました。幸いステージ1でしたが、病気が判明した時は自分も死ぬのかなと(笑)。10年前に椎間板ヘルニアで3日間休みましたが、今回は2週間休みました。起き上がった時に眩暈がひどく、寝たままだと本当に歩けなくなるんだと。復帰してからは、手術後の患者さんもすぐに歩かせるようにしています(笑)。
──これからの抱負は。
藤田 今年はカテーテル治療、外科治療の実績がともに前年より1・2倍となり、多くの患者さんを治すことができたという実感があります。新年の目標は、まず豊平区の新クリニックを軌道に乗せること。新札幌ほど立地は良くないので、どうやって多くの患者さんに来てもらうかですね。やりたいことはたくさんあり、85歳まで働くと決めています。患者さんと共に長生きし、まだまだ医療人として成長していきたいと考えています。
──今後の展開が楽しみです。
開院を待つ「札幌心臓血管クリニック とよひら」
開院を待つ「札幌心臓血管クリニック とよひら」
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