地域包括ケアの拠点として在宅をサポート
つしま医療福祉グループが豊平に特養「ノテ中の島」を新規オープン
地域の期待を集めてオープンした特別養護老人ホーム ノテ中の島
Welfare Report
つしま医療福祉グループ(札幌市・対馬徳昭代表)傘下の社会福祉法人「ノテ福祉会」は、法人発祥地の地である札幌市豊平区内で4か所目となる特別養護老人ホーム(特養)「ノテ中の島」を3月30日にオープンした。特養は同グループが展開している地域包括ケアシステムの「核」に位置づけられており、「ノテ中の島」では短期入所のショートステイや居宅介護事業も合わせて行ない、住み慣れた地域での暮らしをサポートする。ノテ中の島の皆川真施設長(40)に、新施設の概要をはじめ特養を活用した地域包括ケアシステムの意義について訊いた。
(3月20日取材・工藤年泰)
在宅生活を支える特養
ノテ福祉会は、介護が必要となった高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる「地域包括ケアシステム」を全国に先駆けて展開。各特養施設内に「ノテ地域包括ケア本部」を開設し、ショートステイや看護小規模多機能型居宅介護などで在宅介護を支援してきた。
今回オープンした特別養護老人ホーム「ノテ中の島」は、地下鉄南北線・中の島駅から徒歩10分。都心部に近く利便性が高い。豊平区内では「ノテ幸栄の里」や「ノテとよひらの里」などに続く4カ所目の特養で、札幌市内では8カ所目。かねてから地域住民のニーズが高かったことを受け、グループが運営していた外国人技能実習生の寮跡地を活用して開設に踏み切った。
「ノテ中の島」は要介護3以上で自宅での生活が難しい高齢者が対象となる。完全個室のユニット型で定員は100人。短期間入所し介護サービスや機能訓練を受けるショートステイ(短期入所生活介護)もあり、こちらも全室個室で定員20人。全体で120人もの高齢者を受け入れる大きな特養は札幌市内では珍しい。
施設の1階には10月を目途に「看護小規模多機能型居宅介護事業」も併設する。胃ろうやカテーテルなどで健康に不安のある高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう、自宅での療養を介護保険サービスで支えるのが狙い。主治医と連携しながら訪問看護、訪問介護、通い、泊りを柔軟に組み合わせながら在宅生活を支える。
皆川施設長は、特養と在宅の関係について次のように説明する。
「ノテ福祉会が運営する在宅看護に関わる介護事業所からは、常に利用者の状況が特養にフィードバックされており、在宅での暮らしが難しくなったら然るべきタイミングで入所していただく体制が取れています。つまり、私たちが特養を増やすのは地域の人に自宅で安心して暮らしてもらうため。令和5年度は南区にも1カ所開設する予定で、これをもって、特養を拠点にした地域包括ケアシステムが札幌市内各区で完成する運びになっています」
「ノテ中の島」では介護士の負担を減らすため見守りや介助用の介護ロボットを導入。ペーパーレスと時間の効率化を図るため、利用者の記録についてはiPadとパソコンで行ない情報の共有を徹底する。
終末期あるいは夜眠ることができない人にはパラマウントベッドの「眠りSCAN」を使った個別ケアも実施する。シート状のセンサーをベッドのマットレスの下に敷くだけで、体動などの微細な動きを捉え、睡眠や呼吸数、起き上がりなどをリアルタイムで把握することができる。ベッドからの転落を避けるため床に近い場所で眠ることができる超低床ベッドも全ユニットの3分の1程度導入している。
認知症の高齢者には五感に刺激を与えることで、症状の改善が期待される「スヌーズレン療法」も実施する。この療法はオランダの知的障害者の施設で生まれ、自閉症などの子どもの療育として世界で広まっているメソッド。ノテ福祉会では認知症の症状に興奮症状などが現れることに着目。ほぼ全ての特養に「スヌーズレン療法室」を設置し、作業療法士が実施している。
「ノテ中の島」のスヌーズレン療法室
「ノテ中の島」のスヌーズレン療法室
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