札幌ハートセンター・藤田勉理事長に訊く
豊平にもサテライトの開設を計画 分院配置で札幌市内全域をカバー
「100年続く病院」を目指し采配を振るう藤田理事長
(ふじた・つとむ)1961年稚内市出身。86年旭川医科大学医学部卒業。札幌徳洲会病院、国立循環センターなどを経て90年札幌東徳洲会病院に勤務。同病院副院長兼循環器センター長、院長代行などを歴任。2008年札幌心臓血管クリニックを開院、11年に医療法人化し札幌ハートセンター理事長に就任。22年7月に初の分院となる新札幌心臓血管クリニックを開院。日本内科学会認定医、日本救急医学学会専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医、日本心血管インターベンション治療学会指導医。61歳
Medical Report
全国屈指の循環器専門病院、札幌心臓血管クリニック(東区・104床)を運営する医療法人札幌ハートセンター(藤田勉理事長)が豊平区にもサテライト診療所を開設する準備を進めている。2024年のオープンを目指している分院は、7月にJR新さっぽろ駅近くにオープンした「新札幌心臓血管クリニック」(厚別区・大川洋平院長)に続く2カ所目で、本院への交通アクセスが難しかった豊平エリアの患者にとって朗報となりそうだ。「市内各地に分院をつくることで札幌全体の患者をカバーしたい」と意気込む藤田理事長に、札幌ハートセンターの今後の戦略を訊いた。
(11月28日取材・聞き手=工藤年泰)
進化を続ける循環器専門病院
──2022年は、JR新さっぽろ駅近くの医療モールに「新札幌心臓血管クリニック」(厚別区・Dスクエア新さっぽろ)を開院しました。
藤田 自分たちでつくった初めての分院です。7月1日のオープン以来、症状の重い患者さんが多く来ており、開院して良かったと心から思います。患者の皆さんからは「東区の本院は僻地だから」と言われており(笑)、新札幌だと苫小牧や岩見沢方面からも来院しやすいようです。
──日曜日は藤田理事長が外来を担当し、感謝されていると聞きます。
藤田 日曜日しか来れない患者さんもおられますからね。そういう言葉を聞くと、こちらも励みになります。患者数も増えており、大川院長は1日に30人から40人を診ているので大変です。
──2年後には豊平区役所近くの環状通沿いにも分院を開設する。
藤田 豊平区は本院からすると厚別区と並んで遠いところですが、実は一番患者が来ているのが新札幌と豊平エリアなんです。だから新札幌に続き豊平にも分院をつくり札幌市内全域を網羅しようと考えました。
札幌の医療法人履信会(井本憲志理事長)がこれまで展開していた3カ所の病院を統合して「りしん会整形外科病院」(仮称)を2024年4月に開院する予定で、そこの患者さん全員のスクリーニング(集団を対象にした検査)を札幌ハートセンターとしてやることになっています。豊平区の分院は、その病院横の調剤薬局の上階に開設する予定で、豊平エリアの人たちにも身近なところで私たちの医療を提供していきたい。
──本院の移転新築という話もありました。
藤田 昨今の大幅な建設資材の高騰を受けて現在地での大幅なリニューアルに舵を切ったところです。本院の裏側の土地で4期工事を行ない現在の病床(104床)にプラスして150床規模にしたい。完成は2026年ぐらいになると思います。
──リニューアルでは、どのようなイメージを描いていますか。
藤田 狭隘化していた受付ロビーも広くし、循環器分野における全ての治療、リハビリができる病院にします。これからは透析が必要な人も増えてくるので40ベッド程度の透析病床も整備する予定です。
──常に心がけておられる先端医療については。
藤田 心臓血管外科分野におけるロボット支援手術については、国内を牽引する立場になりつつあると自負しており、もう1台ダヴィンチを導入したい。そのための人材を育成し、ロボット治療の拠点病院する考えです。カテーテルによる弁膜疾患などの治療についてもフル装備でカバーできるようになったので、外科と内科がタッグを組むハートチームで徹底して治療をしていきます。
──マンパワーのトピックスは。
藤田 23年4月に循環器病院として有名な小倉記念病院(北九州市)の循環器部長として活躍している医師を本院に迎えることになり、今から期待しているところです。
──2022年はコロナ禍に加えロシアによるウクライナ侵攻が始まるなど国内外で大変な年でした。
藤田 私にとっては、分院を初めて開院でき、患者さんも増えるなどベストといえる年でした。ハートセンターとしてのブランド力がつき、患者さんたちのセカンドオピニオンの要望に多く応えてきたことが、こういう成果に結びついたのだと思います。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の症例数も国内でナンバー1か2です。
──創刊50周年を迎えた本誌にコメントがあれば。
藤田 これからも北海道のメディアとして独自の、そして地域ならでは情報を発信してもらいたい。インターネットなど情報ツールは変わってきましたが、ネットは深い部分まで伝えるにはあまり向いていない。しっかり読んでもらうには雑誌など紙媒体の方がいい。北方ジャーナルがなくなったら私が困るので頑張ってもらわないと(笑)。
──ありがとうございました。
新札幌心臓血管クリニックと大川洋平院長
新札幌心臓血管クリニックと大川洋平院長
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