初の分院は「Dスクエア新さっぽろ」3階、エレベーター脇にある
手術実績などで全国屈指の循環器専門病院、札幌心臓血管クリニック(東区・104床)を運営する医療法人札幌ハートセンター(藤田勉理事長)の分院が7月1日、厚別区にオープンした。再開発が進むJR新さっぽろ駅周辺に誕生した医療モール「Dスクエア新さっぽろ」3階の一角を占める「新札幌心臓血管クリニック」(大川洋平院長)が、それ。
これまで全道に専門医を派遣し、各地でサテライト外来を開いてきた札幌ハートセンターだが、自前のサテライト診療所を開設するのは今回が初めて。厚別区をはじめ北広島市方面の患者にとっても朗報と言えるトピックだ。
「今回の再開発では私たちが入居している医療モール以外に3つの専門病院が移転集約されますが、その中に循環器分野の病院がないことからオファーが入った流れです。本院から遠く離れている厚別・北広島方面の皆さんにはこれまで何かと不便をかけていたこともあり、医療ニーズが高いと判断してサテライトの開設を決めました。
ここでは、経験豊かな循環器専門医である大川洋平先生(北海道大野記念病院前院長)にトップをお任せし、循環器疾患の発見に努め、本院と連携してスムーズな手術、治療につなげていきます。最大のウリは本院と同レベルの検査体制を確立したこと、そしてたぶん本院ほど混まないこと(笑)。私が担当する日曜に外来を開いている循環器の病院や診療所は聞いたことがないので、受診しやすさという点でも患者さんの役に立っていきたい」(藤田理事長)
札幌ハートセンターでは、2年後の2024年中に豊平区役所付近の環状通沿いにもサテライト診療所をオープンする予定。遠隔地の患者に便宜を図り、ひとりでも多くの患者を救うには広いネットワーク構築が欠かせない。そういう意味で今回のサテライトオープンは、その第一歩を刻むエポックと言える。
その札幌ハートセンターの勢いを感じさせたのが6月11日午後、3年ぶりに参加者を集めて開かれた医療講演会「札幌ハートセミナー」だ。今回で14回を数える同セミナー。会場となった札幌市中央区の道新ホールには約250人が来場し、経験豊富なドクターたちの話に耳を傾けた。
当日のセミナーでトップバッターとして登壇したのは医療法人理事の佐藤勝彦医師。佐藤医師は「外来でわかる動脈硬化と心臓病」をテーマに、さまざまな疾患を引き起こす要因である動脈硬化とそれを発見する検査について解説。次にマイクを握った同病院の若手ホープである北井敬之医師は「不整脈をカテーテルで治す」と題してユーモアを交えて講演。さらに副院長の光島隆二医師が「~低侵襲心臓手術~あなたのその手術、胸を開けずに治せます」をテーマにロボット支援によるダ・ヴィンチ手術など札幌心臓血管クリニックにおける最先端の心臓手術を解説した。
ラストにお馴染みの術着姿で登壇した藤田理事長は、今回のセミナーのテーマでもある低侵襲、体に優しい心臓治療に病院として全力で取り組んでいることを強調。冠動脈のカテーテル治療における国内有数のエキスパートとしての経験を踏まえ、全ての疾患で可能な限り患者に負担をかけない治療を目指していることを語りかけた。
「私たちの病院は、全国トップレベルの技術と経験を持つ循環器内科医と心臓血管外科医、不整脈専門医が相互に連携して治療に当たる体制を敷いています。カテーテル装置やCTといった検査機器についても常に最新鋭を導入しており、心臓、循環器にかかわる病気の全てで最良の治療を提供できる自信があります」
こう強調した藤田理事長は、不調を感じた場合は1日も早く専門医に診てもらうことを促し、講演会終了後に開かれた個別の医療相談会には多くの参加者が悩みを打ち明ける姿が見られた。