抜群のアクセス環境の中で診療体制を大幅に強化拡充
医療法人我汝会さっぽろ病院がJR苗穂駅直結の立地に新築移転
JR苗穂駅北口から徒歩1分以内の我汝会さっぽろ病院(札幌市東区)
Medical Report
人工股関節置換術で国内トップクラスの治療実績を誇り、道内外から患者が訪れている医療法人社団我汝会「えにわ病院」(木村正一理事長・恵庭市・150床)。この系列病院である「さっぽろ病院」(春藤基之院長・50床)が9月下旬、札幌市東区北24条からJR苗穂駅北口エリア(東区北5条)に新築移転オープンした。急増する手術に対応するためオペ室をはじめ診察室、検査室など診療体制を大幅に拡充。365日の通年リハビリやさらなる早期離床、早期退院を目指しながらより質の高い医療を提供していく計画だ。「JR苗穂駅北口直結と交通面のアクセスの良さが強み。ここではこれまで以上に症例数を増やしていきたい」とする春藤院長に新病院の概要と抱負を訊いた。(10月22日取材)
需要に応じて診療体制を拡充
高水準な診療体制を整えた春藤院長 (しゅんどう・もとゆき)旭川市出身。1989年北海道大学医学部卒業。北海道大学病院、市立旭川病院、斗南病院(札幌市)、小林病院(北見市)を経て93年から「えにわ病院」勤務。2007年「さっぽろ病院」副院長、12年4月に同院長に就任。日本整形外科学会整形外科専門医。57歳
低侵襲手術と術後リハビリ
春藤院長が手がける最新の人工股関節置換術について解説していただいた。
「股関節は寛骨臼(かんこっきゅう)と呼ばれる骨盤の外側、寛骨中央部のカップ状の陥凹部と、大腿骨の一番上にある大腿骨頭で形成されています。股関節は脚を前後に動かすほか、開いたり回す動きができる関節であり、骨盤から脚にかかる体重を最初に受ける重要な役割を果たしています」
この股関節の軟骨が加齢などで減り関節が変形するのが「変形性股関節症」だ。歩き始めた時や立ち上がる時にお尻や太ももの付け根に痛みを感じ、変形が進行すると股関節の動きが悪くなる。さらに症状が進むと骨頭がつぶれ、悪いほうの脚が短くなる。
「変形性股関節症は、寛骨臼のかぶりが生まれつき浅い臼蓋(きゅうがい)形成不全が元で発症する人が多い。股関節は骨盤から脚にかかる体重を受け止める場所。臼蓋形成不全で体重を受ける面積が狭いと、そこに体重の負荷がかかることで軟骨が減り股関節が変形してくるのです。日本の変形性股関節症の8割は臼蓋形成不全によるものですが、股関節は筋肉や靭帯に囲まれているため症状が出にくく、進行してから気付く人も多い」
患者の9割が女性で、中でも中高年の女性が多いのはホルモンの関係や出産による骨盤の歪みやズレとされる。ただ、個人差もあり乳幼児健診で見つかることもある。子供の頃から痛みがあったが我慢をして足を引きずって歩き、30歳を過ぎて重症化してから治療に訪れる人もいるという。股関節の痛みが強いと日常生活も困難になる。自覚症状がある場合は早めに整形外科を受診したい。
症状が軽い時は体重のコントロールや筋肉のトレーニングで股関節の負荷を減らしたりで補うが、軟骨が減り痛みのひどい時は外科的手術を行なう。
外科的手術で行なわれる治療のひとつに「寛骨臼骨切り術」がある。これは骨盤の骨の一部を切り、移動させることで骨頭を覆う屋根の面積が広くなる状態にして、骨切りした部分を固定する手術だ。
さらに関節の変形が著しくなったケースでは、悪くなった股関節の代わりに金属やセラミックに置き換える「人工股関節置換術」を行なう。日本では40年以上前からこの手術が導入されているが、長い間緩みや脱臼が生じるなど耐久性に課題があった。このためスポーツや日常生活の制限があったが、近年は摩耗に強いセラミックなど耐久性のある優れた素材が開発され、低侵襲な手術法も確立されている。
同院の人工股関節置換術では切開範囲を7~8センチにし筋肉や腱を切らないで人工物を挿入する手術法「前方進入法」を導入。体への負担も少なく40分ほどで手術を終えることができる。
「今は材質の良いセラミックが使われるようになり、昔のように挿入物が破損することはほぼなくなりました。手術法も前方進入法のように低侵襲なものに進化しています。10年ぐらい前までは術後2週間前後の入院が必要でしたが、今は手術の翌日からリハビリを始め、たいていの人は術後5日間で退院することができます」
設計で力を注いだ手術室は広く使いやすいものに
MRIは最新タイプ(1.5テスラ)2台が稼働
大部屋もプライバシーに配慮した造り
旧病院より広くなったリハビリ訓練室
高水準な診療体制を整えた春藤院長 (しゅんどう・もとゆき)旭川市出身。1989年北海道大学医学部卒業。北海道大学病院、市立旭川病院、斗南病院(札幌市)、小林病院(北見市)を経て93年から「えにわ病院」勤務。2007年「さっぽろ病院」副院長、12年4月に同院長に就任。日本整形外科学会整形外科専門医。57歳
設計で力を注いだ手術室は広く使いやすいものに
MRIは最新タイプ(1.5テスラ)2台が稼働
大部屋もプライバシーに配慮した造り
旧病院より広くなったリハビリ訓練室
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