札幌佐藤病院グループの「しんふぉに~28」
障害者と健常者の垣根を超えて居住、就労、地域交流を一体化
グループの集大成である複合施設「しんふぉに~28」(札幌市東区北28条東2丁目2-20)
Medical Report
札幌佐藤病院グループ(医療法人社団大藏会・佐藤亮藏理事長)は8月1日、高齢者・障害者住宅を中核にレストランや地域交流センター、就労支援事業所などを備えた複合施設「しんふぉに~28」を札幌市内東区にオープンした。心身のハンデの有無に関わらず、障害者や高齢者が安心して活き活きと暮らし、働き、コミュニティ活動への参加など地域住民との交流も促す同施設。長年にわたり退院者の居場所づくりに力を入れてきた札幌佐藤病院グループの集大成と呼べる取り組みを取材した。
退院者の居場所づくりから生まれた地域との共生空間
誰でも利用できるレストラン幸福(しあわせ)地元食材にこだわったメニューが目白押し(8月1日)
就労支援のほか地域コミュニティ活動にも貢献できる同施設での陶芸
佐藤亮藏理事長
レストランや文化・娯楽施設
地域住民と共に人生を楽しむ
今回オープンした「しんふぉに~28」は、入所者の生きがいづくりや地域との共生など、札幌佐藤病院グループのこれまでの取り組みを集約した象徴的な複合施設といえる。
施設は国税局の独身寮だった土地建物を購入して改修したもの。敷地面積は約1900坪強、建物の延床面積は約1700坪に強にのぼる。
正面玄関やレストランなどがある中央の建物を挟んで、東西に居住棟を設置。東棟の「スリール大学村館」は、介護を必要とする高齢者や障害者が対象で75室を用意しており、フロアごとに入所者用の食堂を設けている。朝・昼・夕の食事は入居者それぞれの事情に配慮して、可能な限り要望に合わせた食べやすいメニューを提供する。
西棟の「奏館」は40室で、介護などを必要としない60歳以上の人が対象。居室は風呂・トイレ別で、ミニキッチンが付いた8畳のワンルームで、食事は希望者に有料で提供する仕組みだ。この住まいを拠点に仕事に出ることや地域コミュニティ活動への参加も積極的に促していく方針で、同施設を通じた就労紹介も行なっていく予定だ。
セキュリティ面ではスタッフが24時間365日見守り対応。また医療・介護・福祉の専門相談員を配し、無料で健康相談にも応じる。
2つの居住棟をつなぐ1階の共用スペースは、地域住民にとっても嬉しい設備が充実。このうちレストラン幸福(しあわせ)は、一般客も気軽に利用でき、そのメニューもグループ企業のレストランシェフが腕に縒りを掛けて仕上げた本格カレーや、麺に札幌伝統の玉葱・札幌黄とこんにゃくを練り込んだヘルシーかつ札幌ならではのオリジナルラーメン、黒千石大豆のニラ雑炊など、外食専門店も舌を巻くほどの逸品揃い。また、持ち帰りもできる自家製パンやドーナツの販売もしており、開業時のメニューは10品程度だが、ゆくゆくはこの3倍くらいにラインナップを充実させる意向だ。
当然ながら入居者や障害のある来店客の対応も万全。レストラン内にはさまざまな補助器具を揃えた福祉用具コーナーを設けており、食事の際にはそれぞれの障害に応じた補助器具を貸与。それを購入することもできる。
このほか、4台の電動ろくろを備え屋外に焼き釜も設けた陶芸室やカラオケルーム。麻雀や囲碁なども楽しめる地域交流センターに、町内会の会合などにも適した小会議室なども設置し、入居者や地域住民に開放している。
陶芸に関しては、札幌芸術の森で陶芸の講師を務めていた専門家による一般参加型の陶芸教室を実施していく考え。そして障害者就労支援の側面としては、出来上がった作品を同法人のレストランなどに販売していく予定だ。「入所者の方々が作る陶芸品は、とてもセンスの良いものが多く、レストランで出す食器としても十分な出来栄えです」と施設担当者は話す。
開放感たっぷりの中庭には、煉瓦造りのバーベキュー台や屋根付き休憩スポットもあり、お祭りなど地域のさまざまなイベントにもうってつけの場所となっている。
さまざまな機能を有する「しんふぉに~28」だが、今後は現在駐車場として利用している敷地に訓練型デイサービス棟も設ける計画。介護などの生活支援は受けていないが日々の健康維持に努めたいという一般高齢者に向けても無理なく運動ができるトレーニングルームを整備する予定だ。
「奏館」のモデルルーム
バーベキュー台も常設されイベント開催にもうってつけの中庭
誰でも利用できるレストラン幸福(しあわせ)地元食材にこだわったメニューが目白押し(8月1日)
就労支援のほか地域コミュニティ活動にも貢献できる同施設での陶芸
佐藤亮藏理事長
「奏館」のモデルルーム
バーベキュー台も常設されイベント開催にもうってつけの中庭
目次へ
© 2018 Re Studio All rights reserved.