アイソトープ検査装置を備えた注目の「さっぽろ甲状腺診療所」
いわく・けんじ 2001年昭和大学医学部卒業。同大学藤が丘病院内分泌代謝科、伊藤病院内科医長などを経て17年11月さっぽろ甲状腺診療所院長に就任。日本内科学会総合内科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝専門医・指導医・評議員。日本甲状腺学会専門医。日本糖尿病学会糖尿病専門医
親子3代に亘る専門病院の診療連携施設を
札幌で開業
医療法人社団甲仁会 さっぽろ甲状腺診療所
札幌市中央区大通西15丁目1-10 ITOメディカルビル ☎011-688-6440
HP:http://www.kojin-kai.jp/sapporo/
グループを率いる伊藤公一理事長
さっぽろ甲状腺診療所の受付。木目調の内装が心地よい
伊藤病院と同様に導入されているアイソトープ検査装置
エコー検査も最新機器で対応
アイソトープ治療用カプセル
参道で全国から患者を集める伊藤病院
バセドウ病や甲状腺がんに対応するアイソトープ治療
よく耳にする「バセドウ病」も自己免疫疾患のひとつで20代から40代の女性に多い。こちらは橋本病とは逆に甲状腺ホルモンが過剰に作られるため起きる疾患だ。代謝が高まることで息切れや動悸、イライラする、疲れやすい、手の震え、汗かき、髪の毛が細くなり抜けやすい、食べても痩せる、眼球突出などさまざまな症状が出てくる。
治療法は甲状腺ホルモンの合成を抑える薬物療法が中心で、約3分の1が2、3年で寛解するが、薬物療法で重篤な副作用が出たときや、いつまで経っても改善されない場合は、甲状腺を切除する甲状腺全摘術か、放射性ヨウ素を投与して甲状腺の一部を壊すアイソトープ治療が選択肢となる。
このアイソトープ治療は、甲状腺がヨウ素を取りこむ性質を利用して、1940年代前半に米国で開発された手法だ。治療は放射性ヨウ素を含むカプセルを服用するだけ。放射性ヨウ素が放出する放射線が甲状腺の一部を破壊し、ホルモン量を減らす仕組みだ。日本では設備を整えた専門医療機関で治療を受けることができる。500MBqまでなら外来治療も可能だ。
「アイソトープ治療は、薬で症状をコントロールできない時や重篤な副作用が出現した患者さんが対象。まず、あらかじめヨウ素を含む食べ物を制限しておきます。治療の前にヨウ素制限がうまくいったかどうかを確認するため、ヨウ素の摂取量を調べた上で、アイソトープ治療用カプセルを内服します。被曝を心配する人もいますが、服用したヨウ素のうち甲状腺に取りこまれないものは、ほとんど尿中に排出されるので安心です。日本では、放射線治療による被曝を心配する方が多いですが、米国で1946年から64年にかけて、アイソトープ治療を行なった約3万6千人を1991年まで追跡調査した結果、バセドウ病アイソトープ治療による特定の発がんとの関連は、ないことがわかっています」(岩久院長)
甲状腺のしこりには良性と悪性があるが、多くが良性だという。良性のしこりは良性腫瘍と腫瘍によく似た過形成がある。甲状腺悪性腫瘍である甲状腺がんのうち、約9割は「乳頭がん」で進行が遅く予後も良好だ。一方、約5%に出現する「濾胞がん」は手術をしないと診断がつかないが、多くの予後は比較的良好だという。
診療では超音波検査と細胞診を行なう。がんと診断されたら手術が治療の基本になる。切除範囲はがんの進行度とリンパ節転移により定めるが、多くの甲状腺がんは進行が遅いためリンパ節転移をしてもきれいに取り去ることができる。また再発の危険度の高い進行がんの一部は全摘後に再発予防を目的とした治療法としてアイソトープを服用する方法もある。
いたずらに被曝を怖れずに専門医と相談の上、より良い治療法を選択したいものだ。
医療法人社団甲仁会 さっぽろ甲状腺診療所
札幌市中央区大通西15丁目1-10 ITOメディカルビル ☎011-688-6440
HP:http://www.kojin-kai.jp/sapporo/
グループを率いる伊藤公一理事長
さっぽろ甲状腺診療所の受付。木目調の内装が心地よい
伊藤病院と同様に導入されているアイソトープ検査装置
エコー検査も最新機器で対応
アイソトープ治療用カプセル
参道で全国から患者を集める伊藤病院
伊藤病院に比べて遜色ない“高度な検査と治療”を提供
「さっぽろ甲状腺診療所」は、地下鉄東西線「西18丁目」駅5番出口から徒歩2分の場所にある。大通公園に近い都心に立地し、ガラス張りの瀟洒な6階建てのビルが目をひく。1階には調剤薬局、2階は睡眠障害の専門クリニックが入居し、地階と3階以上が同診療所のスペースとなる。
特筆すべきひとつは、診断のつきづらいバセドウ病や特殊な結節の確定診断ができる最新のアイソトープ検査装置を備えていること。甲状腺診療に特化した医療チーム、それを支えるハードの面で伊藤病院と同レベルの外来体制を構築したことが、「さっぽろ甲状腺診療所」最大の特徴と言っていい。
地階にあるのはアイソトープの処理施設で、3階はアイソトープ検査・治療などのフロア。4階は臨床検査関連で血液、エコー、心電図などの検査と解析を行なうエリア。5階が受け付けと診察室で、6階は管理部門という構成になっている。
「アイソトープ治療では、扱う線量も多いので廃液などが外部に漏れるなどの事故を起こさないよう法律上の規制も厳しい。患者さんに安全安心な治療を受けてもらうため、このビルの建設では放射性廃棄物処理施設の工期に最も時間をかけ、大きなコストを投じました」(岩久院長)
さっぽろ甲状腺診療所を率いる岩久院長は、甲状腺専門医としてこれまでに約7千人もの患者の治療に当たってきたエキスパートだ。
「札幌で診療を始め、より望ましい治療を必要とする患者さんがまだまだいると実感しています。患者さんが一番良い治療法を選択するお手伝いをするのが我々の務め。甲状腺疾患の専門治療拠点として、より特化した取り組みを深めていきたいと思います」(岩久院長)
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