2025 お盆特集・真言宗 惠弘寺の足立住職に訊く
いま、お盆の意味をあらためて考えたい
問い直す供養のこころ
真言宗の僧侶として幅広い活動に取り組む足立住職(6月13日午後、高野山真言宗 惠弘寺の本尊前で撮影)
(あだち・りゅうげん)1963年福岡市出身。サラリーマンや自営業を経て得度し仏門の道へ。2014年に札幌市北区で高野山真言宗 惠弘寺を開山し、23年に現在地に移転。認定臨床宗教師、札幌市保護司、「国境なき僧侶団」メンバー、「札幌BONZEくらぶ」代表、「北海道有志僧侶の会」代表。61歳
故人のおかげで生かされていることに感謝の気持ちを
札幌市北区の高野山真言宗「惠弘寺」の足立隆厳住職(61)はサラリーマンなどを経て48歳で仏門に入った異色の経歴の持ち主。お寺の子供でもなく、ゼロから新寺を建立してからは宗教者として人に寄り添い対話を重ね、臨床宗教師や保護司としても活動の場を広げている社会派の住職でもある。今年のお盆特集は、コロナ禍を経て家族葬や直葬が増え、かつての宗教儀礼を大切にする葬儀が姿を消しつつある現状を踏まえ、足立住職に本来の葬儀の在り方や供養の意味を訊いた。
(6月13日取材 工藤年泰・武智敦子)
先祖がいて自分がいる
──弘法大師(空海)が開祖である真言宗にとってお盆はどのような意味がありますか。
足立 真言宗では追善供養というご先祖様に祈りを捧げる考え方があり、お盆のお参りを盂蘭盆会(うらぼんえ)といいご先祖様の霊をお迎えし、家族や親族が集まって先人たちを偲び供養します。日本では神道の先祖崇拝と上手く合致し、現在のお盆の形となりました。
──先祖を思い、墓参りで手を合わせるのは大事にすべき習慣かと。
足立 自分の10代前に遡ると、1024人の先祖がおられます。その中のひとりでも欠けると今の自分はいません。だからこそ、命のバトンをつないでくれた先祖に感謝をしなくてはなりません。お盆に限らず、ご両親や祖父母の月命日にはいつもと違う心持ちで一日を過ごしてほしいと思います。
──ただ故人より生きている人の方が大事だと考える人も少なくない。
足立 それは、最も大事なところへの感謝を蔑ろにしている人が多いということにつながると思います。自分たちの生活にはお金をかけるが、先祖の供養には1円も出したくない、お布施や戒名もお坊さんが金を欲しいだけだと言われることもあります。しかしながら僧侶は宗教法人であるお寺から給料をいただき暮らす立場であり、お預かりするお布施は社会貢献をするための資金となるのです。
真言宗の本尊である大日如来を祀る惠弘寺
寺院の中に納骨堂も備える
高野山真言宗 惠弘寺
札幌市北区新琴似1条11丁目10-20
☎011-214-9674
真言宗の本尊である大日如来を祀る惠弘寺
寺院の中に納骨堂も備える
高野山真言宗 惠弘寺
札幌市北区新琴似1条11丁目10-20
☎011-214-9674
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