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北海道知事 鈴木 直道 氏
2024年の北海道で、ことあるごとに話題にあがったのは、千歳市で建設中のラピダス社による次世代半導体工場だろう。生成AIの加速度的な普及でますます必要性、存在感が増している次世代半導体だが、同工場では春にもパイロットラインが動き出す見通しで、量産化への本格稼働に向けカウントダウンが始まった印象だ。コロナ禍を経た観光の状況については順調な入込客数回復の一方で、人手不足に苦悩するなど悲喜こもごも。宿泊税の導入などを含めて観光立国の在り方をどうするかを改めて問い直す時期を迎えているようだ。このほかにも課題が山積みの中で行政の長として北海道をどのように舵取りしていくのか、今後の「北海道創生」に向けた思いを鈴木直道知事に訊いた。
(11月28日収録・聞き手=工藤年泰)
感じた「未来に向けた輝き」
現場主義を貫き重ねた対話
──2024年を振り返って、ご自身の感慨はいかがですか。
鈴木 年明け早々の能登半島地震をはじめ各地の大雨など全国で大規模災害が相次ぎ、8月に宮崎県沖で起きた地震では、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。
また道内の養鶏場では高病原性鳥インフルエンザが発生し、防疫対策に取り組むとともに、物価の高騰による影響が長期化しており、本道経済の活性化を図るなど道民の皆様の命と暮らしを守る思いを一層強くする年となりました。
こうした中、本道のさらなる飛躍に向けた歩みが着実に進みました。国家プロジェクトである次世代半導体の製造拠点の整備が進むとともに、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」が国に認められ、国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを有する北海道が、ますます国内外から注目されようとしています。
私自身もアメリカのニューヨーク州を訪問し、州政府関係機関と連携の枠組みを構築したところであり、こういった先進地の知見も活かしながらGX・DX産業の集積を目指してまいります。
また念願が叶い、6月には「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生しました。多様な生態系が残る自然は世界に誇る貴重な財産であり、ヒグマとのあつれきの低減を図りながら、豊かな自然を守り、その魅力を広く発信してまいります。
そのほかにも、観光入込客数がコロナ禍前の水準を回復しつつあることや、全国最多となる1000人以上の地域おこし協力隊の活動、北海道のアンテナショップ「どさんこプラザ」の売り上げは過去最高額を更新、災害にも対応できる動物愛護センターのオープン、中食・外食向けの新たな北海道米「そらきらり」のデビューなど、さまざまな分野で未来に向けた輝きを感じることができました。