検証・北海道庁の半導体政策は道民のニーズに応えているか?
誰の為の半導体立国か
国産先端半導体の製造工場「ラピダス」のPRに努める北海道庁の1階ロビーに大きなポスターが掲示された。その一方で、製造に伴う〝負の影響〟について、道民への情報提供は不十分なままだ
「綺麗事」で語られるラピダスの負の側面に警鐘を鳴らす有識者
「日本の半導体産業の現状とリスク、ラピダスの将来性、道内の社会・経済的な影響などの調査は行なったのか?」「立地に際してのアセスメント(評価)はやっているか。行なわないとすれば、なぜなのか?」──先端半導体企業「ラピダス」の立地に前のめりになる北海道庁に対し、長年にわたり東京都の環境行政に携わり、全国の廃棄物問題の市民運動にも関わってきた藤原寿和さん(本誌24年6月号を参照)が次々に疑問を投げかける。 これまで30年間、半導体技術が衰退してきた日本にあって、すぐれた人材の確保ができるのか。道民が関心をもつ工場排水の安全性や環境に与える影響などについての情報提供は、企業や行政側からのものに偏っているのではないか──筆者もまた、そんな疑問をいだく。失速した苫小牧東部開発の二の舞になるのではないか…と。道内のマスメディアからは立地に対する批判の声をあまり聞かないが、警鐘を鳴らす有識者はいる。NPO法人さっぽろ自由学校「遊」の講座で最近、道の半導体政策を検証した藤原さんの話を紹介する。
(ルポライター・滝川 康治)
短期間に2ナノ半導体開発は疑問
有害物質の除去など説明も不十分
(ふじわら・としかず)1946年、茨城県生まれ。早稲田大学理学部応用化学科を卒業後、東京都職員として40年間にわたり公害・環境・産業保安行政に従事するかたわら、70年代から公害問題などの市民運動に参加。現在は、廃棄物処分場全国ネットワークや化学物質問題市民研究会などで活動中。台湾企業のTSMC やラピダスの国内立地を機に23年、有志で「半導体研究会」を立ち上げ、北海道にもたびたび足を運ぶ。安平町環境アドバイザー。千葉県市川市在住
安平川に架かる源武橋では高濃度のPFASを検出。道は発生源の特定に至っていない
25年の操業開始をめざし急ピッチで建設が進む「ラピダス」の工事現場
(10月下旬撮影)
道が策定した「産業振興ビジョン」には、過大な期待感にもとづく構想を網羅(道のHPから)
「ラピダス」の工場用水は安平川から取水。美々川の近くでも配水管の工事が進む
(ふじわら・としかず)1946年、茨城県生まれ。早稲田大学理学部応用化学科を卒業後、東京都職員として40年間にわたり公害・環境・産業保安行政に従事するかたわら、70年代から公害問題などの市民運動に参加。現在は、廃棄物処分場全国ネットワークや化学物質問題市民研究会などで活動中。台湾企業のTSMC やラピダスの国内立地を機に23年、有志で「半導体研究会」を立ち上げ、北海道にもたびたび足を運ぶ。安平町環境アドバイザー。千葉県市川市在住
25年の操業開始をめざし急ピッチで建設が進む「ラピダス」の工事現場
(10月下旬撮影)
安平川に架かる源武橋では高濃度のPFASを検出。道は発生源の特定に至っていない
道が策定した「産業振興ビジョン」には、過大な期待感にもとづく構想を網羅(道のHPから)
「ラピダス」の工場用水は安平川から取水。美々川の近くでも配水管の工事が進む
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