BiVi 新さっぽろ(左)とCOCONO SUSUKINO
人口減にコロナ疲弊、地域課題解決の糸口に
札幌市内で進んでいた2つの大規模再開発が、このほど完了を迎えた。ひとつは BiVi(ビビ)新さっぽろの開業に伴う教育機関、医療機関、商業施設などが集積した新さっぽろ再開発。もうひとつはかつての商業ビル・ラフィラにかわるススキノの新たな複合商業施設COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)の完成だ。開業日は奇しくも同じ11月30日。新さっぽろ含む厚別区は人口減少、少子高齢化の進行、ススキノはコロナ禍による疲弊と、いずれも大きな地域課題を抱えた中での再開発だったが、どうやらいずれもこれらの地域課題解決を目指す上で大きな役割を担っていきそうだ。
(髙橋貴充)
地下鉄東西線・新さっぽろ駅を降りてカテプリやサンピアザといった従来の大型商業施設とは真逆、ホテルエミシアや札幌北辰病院などが建つ北側の方角へ歩を進めた場所に建設されたのが、新しい複合商業施設のBiVi新さっぽろだ。2014年に新さっぽろ駅周辺地区まちづくり計画が策定され、16年より大和ハウス工業を代表とするコンソーシアムの手で開発が始まってからおよそ7年。BiVi新さっぽろの開業をもってこの新さっぽろ再開発は完了を迎えた。
そのBiVi新さっぽろだが敷地面積が約1万743平方メートル、延床面積約2万165平方メートルの地下2階・地上4階建てで、1階から4階までのフロアに34の店舗や事務所が入る。
施設全般のコンセプトは「GREENBASE FOR FINEDAYS ~緑豊かな空間から一人ひとりへ素敵な日常を~」で、屋内にいながらも緑が感じられる施設としている。それを具体的に表しているのが、施設の玄関口にあたる2階フロアの屋内公園BiVi PARKだろう。緑の景色がすぐ目に映し出される人工芝の広場に、周囲には沢山の植栽。天井に目をやると縦横16メートルの巨大透過型LEDビジョンが季節や時間帯に即した空の景色を映し出す。
同フロアは飲食店が集積するいわゆるレストラン街なので、食事時の賑わいと共に来場者の大半に親しまれる場所となっていくだろう。
このフロアには先に触れた天井の巨大ビジョンのほかにも、BiViビジョンという高さ3メートル、横幅11メートルのビジョンが設けられている。開業日に先立つメディア内覧会の日には、同施設の宣伝役も務めるというVirtualYouTuber(バーチャルユーチューバー= VTuber)風越星名さんが映し出されていた。同ビジョンの右隣には、ハイスペックなパソコンや動画配信などに必要な機材が揃ったレンタルスタジオのBiViスタジオが。スタッフに話を聞くとこのBiViスタジオ、ゲーム競技のe- sports をやっているが機材スペックが乏しいなど不自由な環境のプレイヤーの活動の場としても活用して貰いたい意向があるようだ。因みに前出の風越星名さんは北海道初のe- sports Vtuber なのだという。
e- sportsへの着目は、今回の新さっぽろ再開発の大きな目玉のひとつだった、2021年の札幌学院大学新札幌キャンパスと札幌看護医療専門学校の開学が大きく影響しているものと見られる。これにより自ずと地域に“学生のまち”といった側面も付与されたことで、彼らの活躍を促すような取り組みが計画されたのだろう。運営主体である大和リースの稲垣仁志北海道支店長は11月28日の会見で、同施設のコンシェルジュに学生の活躍を期待している旨の発言をしており、「将来的にはイベント企画まで携わって貰えれば。学生が活動、活躍して成長できるような場にしていきたい」とも話していた。同日は同氏と札幌学院大学の河西邦人学長による、大和リースと札幌学院大学との包括連携協定が締結された。