旭川発──「社会福祉法人かがやき」に丸投げされた介護事業の行方【3】
体制刷新か追い出しか

2021年10月号

修繕を名目に架空工事が行なわれたグループホームかがやき(旭川市末広5条2丁目)。円内は岩崎理事長(写真は本人のFacebookから)


岩崎理事長が理事を入れ替え 裏金事件関与の評議員も退任

これまで報じてきた旭川市に本部を置く社会福祉法人かがやき(岩崎正則理事長)についての続報だ。法人内部のコンプライアンスやガバナンスのあり方をめぐって旭川市の指導監査課が6月7日、「かがやき」に対して抜き打ちの特別監査に踏み切ったことは7月号で既報の通り。この特別監査が続けられている中で判明したのが同社福における理事の大量入れ替えだ。社福の理事は企業で言えば取締役の地位に相当する立場。「かがやき」の中でいったい何が起きているのか──。(本誌編集長・工藤年泰)
 

社福から去った“生みの親”

 
 さる7月29日、複数の理事が欠席する中で開かれた社会福祉法人かがやきの理事会で岩崎正則理事長(68)は、任期を迎えた役員(理事・監事)と評議員に関する変更案を提示した。主な内容は岩崎理事長を含む合計9名の理事の内、5名を再任せず4名を新たに迎える大幅な役員変更で、この日の議決を経て8月10日の評議員会で正式に決定された。
 この中でまず気になるのは、事業の前オーナーである菅原康晴氏も再任されなかったことだ。
 今から8年前の2013年3月、社福かがやきは市内で高齢者の介護事業を営んでいた有限会社ツインクルサポートから事業譲渡を受けてスタートした。
 このツインクル社は当時、地元建設会社菅原組の社長を務めていた先の菅原氏が介護事業を手がける目的で2004年に立ち上げ、同氏が社長を兼務していたもの。社福かがやきはこの菅原氏が主導する形で設立され、それ以来、本人が理事に名を連ねてきた経緯がある。
 任期を迎えても社福の理事は特別問題がなければ再任されるケースが多い。5名という数の多さも去ることながらこの社福の生みの親と言っていい菅原氏をなぜ理事から外す必要があったのか。
 社福の監事で菅原組の顧問も務めている林孝幸弁護士(林総合法律事務所・旭川弁護士会)は9月8日、その問いに次のように答えた。
「訴訟(元常務理事が起こした解雇無効訴訟で社福側が敗訴)や内部のガバナンスの問題、貴誌が書いていた不正を指摘されるようなことがあり、菅原さんについても疑惑を持たれた。それらを踏まえて体制の刷新を図ったということです」
 一方、再任されなかった理事たちはどう理解しているのか。
 

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