90年近い歴史を持つ深川市立病院(市内6条6番1号)
公益通報者を排除する不当労働行為か
北空知の医療を担う重要拠点、深川市立病院(藤澤真院長・203床)で何が起きているのだろうか。同病院の出入り業者と診療放射線科幹部との癒着を院内で指摘したベテラン技師が昨年9月、突然訓告処分を受け事務部門への異動を言い渡された。このベテラン技師が指摘した癒着とはどのようなものだったのか。そしてなぜ彼は“排除”の憂き目にあったのか──。この問題は暮れの市議会定例会でも取り上げられ、市側の答弁をめぐって議会が紛糾。広く市民に関心を呼ぶテーマになっている。(本誌編集長・工藤年泰)
「日頃よりお世話になっております。深川市立病院の放射線のS(実際の文面では実名)です」
こんな書き出しで始まる一通のメールが同病院に出入りしている医療機器メーカー、F社の担当者に送られた。日付は2019年5月24日金曜の正午すぎ。昼休みの時にでもしたためたのだろうか。
文面は次のように続いている。
「以前、お持ちいただいた日本ハム戦につきまして、当スタッフが、観戦したいとのことですが、空き状況はどうでしょうか?
7月20日(土)対千葉ロッテです。可能でございましたら、2名から4名(ペアシート1席か2席)でお願いしたく連絡をさせていただきました。また、費用はかかりますでしょうか?
大変お忙しいところ申し訳ありませんが、連絡をお願いいたします」
この連絡に対し、業者は6月11日に返信をこう打っている。「深川市立病院診療放射線科S(同)様
いつもお世話になっております。F社(同)のN(同)です。
この度は回答が遅くなりまして申し訳ございませんでした。
大変申し訳ございませんが、ご依頼いただきました7月20日(土)千葉ロッテ戦ですが、申し込みしていたのですが取れませんでした。
費用につきましては無料にてチケット手配させていただきます。
この度は対応できませんでしたが、別日にて予定がございましたら改めてご連絡いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします」
両者のやりとりから見えるのは、病院スタッフからの便宜供与の要求とそれに応えようとしている業者の姿勢。そして、このやりとり以前にも野球観戦チケットの供与を受けていた可能性だ。S氏のメールに曰く「以前お持ちいただいた」という内容が、それを想起させる。
病院側の説明によれば、このF社は深川市立病院と直接的な取引はないが、医療機器の保守メンテを委託している企業の下請け会社とのことで、CTやMRIなど多数の医療機器を扱う診療放射線科には日常的に出入りしていたという。またメールの送り主のS氏は同病院診療放射線科の責任者であり、同科における必要機器類の発注業務などを仕切っている立場である。両者は日頃から顔を合わせている関係と言っていい。
この問題を12月8日の第4回深川市議会定例会で提起し、市側を質したのが北名照美市議(共産・10期)だった。