新千歳空港国際線ターミナルビルが大幅拡張
旅客利便性が飛躍的に向上へ。始まった北海道の空の大変革

2019年10月号

大幅に拡張された新千歳空港国際線ターミナルビル(画像は俯瞰パース)

BUSINESS REPORT

次代を睨み、新千歳空港が大きく変貌しつつある。8月30日から供用が開始されたのは、増え続ける訪日外国人観光客の出入国に対応すべく約2倍に拡張された国際線ターミナルビル。国が推進するCIQ・保安・搭乗等手続・導線の効率化など「ファストトラベル」に沿ったもので、国の目標である訪日外国人旅行者数2020 年4千万人、30年6千万人の実現に向けた受け入れ体制強化の一環だ。この供用開始に先立ち、20年度から始まる新千歳空港をはじめとする道内7空港の一括民営化に関する国との優先交渉権を北海道空港(HKK)連合の「北海道エアポートグループ」が獲得したことも話題を呼んだ。いよいよ始まる“ 北海道の空の変革” を前に、リニューアルした国際線ターミナルビルの概要をレポートする。
 

650億円投じた最新施設

 
 まず過去に目を向けてみよう。新千歳空港と海外を結ぶ直行便が就航したのは、1989年6月の大韓航空ソウル便だった。
 当時は国内線の一部を使っていたが、その後国際線の就航が増え続けて訪日外国人観光客数が大きく増加。このため新千歳空港では国際線専用の旅客ターミナルビルの整備を進め、2010年3月から供用を開始した。
 この前年の09年の国際線乗降客数は79万5054人だったが、供用開始後の10年は94万7148人、12年には107万9359人と100万人を突破、その3年後の15年には211万2737人と200万人を突破するに至った。
 そこで混雑解消のため拡張の必要性が高まり、国が進めている新千歳空港国際線ターミナル地域再編事業に協調する形で施設再整備を計画、17年11月から拡張工事が始まった。
 拡張工事の主な内容は、①出発ロビー及び到着ロビーの施設拡張 ②チェックインカウンター及び保安検査レーンの増設 ③テロ対策などセキュリティ強化 ④免税店等の商業施設の拡充 ⑤ターミナルビル付属ホテルの新設 ⑥出国エリア及び入国エリアの施設機能強化(国の整備)で、事業費は約650億円(官庁エリアを除く)。
 これらの中で旅客取り扱い部分の工事が完了し、このほど供用が開始されたという流れだ。
 国際線の利便性を飛躍的に高めたといわれる今回の拡張工事の内容を見ていこう。3階の出発ロビーにあるチェックインカウンターは、これまで暫定19ブースを含めた55ブースで運用されていたが、8月30日の供用開始によってすべて固定の60ブースでの運用になり、最終的には74ブースに増える。
 

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供用が始まった国際線出発ロビー(8月30日)

供用開始セレモニーで挨拶する新千歳空港ターミナルビルディングの阿部直志社長と関係者による鏡開き(8月30日)

新たに導入された自動チェックイン機(3階の出発ロビー)

保安検査場入口に導入された自動ゲート

ビジネスクラス以上の搭乗客を対象にした「ロイヤルラウンジ」(4階の制限エリア内)

制限エリア内に設置された大型ディスプレイ

拡張部分の制限エリア内にあるフードホール「北海道市場食堂街」

出発ロビーに出店した「ソラドンキ」

供用が始まった国際線出発ロビー(8月30日)

供用開始セレモニーで挨拶する新千歳空港ターミナルビルディングの阿部直志社長と関係者による鏡開き(8月30日)

新たに導入された自動チェックイン機(3階の出発ロビー)

保安検査場入口に導入された自動ゲート

ビジネスクラス以上の搭乗客を対象にした「ロイヤルラウンジ」(4階の制限エリア内)

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