“核のゴミ”レポートPART10幌延の研究期間「20年程度」を反故にする原子力機構
「道民は騙されたのか」

2019年10月号

堀達也知事が地層処分研究施設の立地を受け入れた2000年秋、道北の酪農家有志がトラクターを運転して札幌へ。道庁前に到着後、市民団体の人たちと集会を開いてアピール

「核のゴミ」処分研究施設の延命図る国が露骨な協定違反

道民や行政との約束を守れない組織は信頼を失い、疑念や不安をより深めていく──。道北の幌延町で“核のゴミ”処分研究を進める日本原子力研究開発機構は8月2日、研究期間を「20年程度」としていた約束を反故にして、最低でも10数年ほど延長する方針を固め、関連する協定の当事者である北海道と幌延町に提案した。しかし、この町の原子力関連施設問題には約40年におよぶ経緯があるだけに、「研究施設の周辺地域がなし崩し的に最終処分場にされるのでは?」との道民の疑念は今も消えていない。今回の計画案の周辺と深層を探った。(ルポライター・滝川 康治)
 

原子力機構が期間延長を示し「20年程度」の約束を反故に

 
「(深地層研究計画の新たな)計画案は、『期間延長』を言うだけの中身だ。これじゃ、住民を騙したとしか言いようがない!」
「(当初計画にある)研究期間『20年程度』は貴方たちが言い出した。(道や道民との)約束を守れなかった責任を取るべきだ!」
 8月4日の幌延深地層研究センター会議室。各地から集まった「ほろのべ核のゴミを考える全国交流会」の参加者が、同センターの佐藤稔紀・研究部長らを厳しく追及した。
 その2日前、同センターの幹部が道庁と幌延町役場を訪問。2001年度から「20年程度」としてきた研究期間を、さらに10~15年間ほど延長する「計画案」を提出している。これは、道や道民に対する約束を反故にするものであり、同センターは研究終了後の坑道の埋め戻し年次などにも全く言及していない。
 組織の都合でダラダラと処分研究を続ける。いずれ地層処分が出来るかのように宣伝する拠点を確保し、この町から離れようとしない──。1980年代から40年近くの長きにわたる「幌延問題」の決着を、さらに先送りする結果を招くだけだ。
 

「処分事業がスムーズに進むような議論が大事」と話す野々村仁・幌延町長

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研究延長案に対して抗議文を提出する全国交流会メンバー(8月4日、幌延深地層研究センターで)

貯蔵工学センターの調査強行に抗議する道北農民の集会(86年9月、幌延町内で)

道庁内に座り込み、深地層施設の立地に抗する人たち(2000年9月)

幌延深地層研究センターの地下350メートル坑道。掘削中に断層にぶつかり、地下水やメタンガスが噴出し、作業が中断したこともある(2014年9月撮影)

研究延長案に対して抗議文を提出する全国交流会メンバー(8月4日、幌延深地層研究センターで)

「処分事業がスムーズに進むような議論が大事」と話す野々村仁・幌延町長

貯蔵工学センターの調査強行に抗議する道北農民の集会(86年9月、幌延町内で)

道庁内に座り込み、深地層施設の立地に抗する人たち(2000年9月)

研究の延長に憤る一方、坑道事故の発生を危惧する久世薫嗣さん

幌延深地層研究センターの地下350メートル坑道。掘削中に断層にぶつかり、地下水やメタンガスが噴出し、作業が中断したこともある(2014年9月撮影)

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