重症化を防ぐ心臓リハビリの重要性
北海道循環器病院の大堀理事長が「心不全」の治療マニュアルを出版

2022年05月号

「心不全の患者に終生寄り添っていきたい」と語る大堀理事長

(おおほり・かつみ)1942年釧路市生まれ。68年札幌医科大学を卒業後、胸部外科(現心臓血管外科)に入局。81年北海道循環器病院開設。以来、一貫して心臓血管系と呼吸器疾患の外科療法に携わり、現在はドイツのハンブルク心臓リハビリテーション協会と連携し虚血性心疾患の心臓リハビリにも取り組む。21年12月に同病院開院40周年を迎え、22年2月末に『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎メディアコンサルティング)を出版。18年紺綬褒章受章。日本胸部外科学会指導医、日本外科学会認定医、日本医師会認定産業医。80歳

Medical Report

このほど社会医療法人 北海道循環器病院(札幌市中央区・95床)の大堀克己理事長が
『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎メディアコンサルティング刊)を上梓した。長年に亘り心臓血管の外科療法と心臓リハビリテーションに取り組んできた経験に基づき、生涯を通して
「心臓機能」を維持するための貴重なマニュアルとなっている。心不全が起きるメカニズムをはじめ過度の負担をかけない効果的な心臓リハビリなどを分かりやすく解説した同書。今回の出版にかけた思いを大堀理事長に訊いた。
(3月18日取材)

『心不全と診断されたら最初に読む本』(228頁、税込み価格1650円)

「人生百年時代」の一助に


 心不全とは「心臓の働きが不十分なために体に異常が起き、それらが次第に悪くなり命を縮める状態」のことを指す。高血圧をはじめ心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症といった疾患により心臓のポンプ機能が低下することで充分な量の血液を全身に送れなくなり、肺や肝臓などに血液が滞って呼吸困難やむくみ、疲労感といったさまざまな症状が引き起こされることになる。
 心不全の患者は1950年には5万人に満たなかったが、90年に10万人を突破。高齢化社会の進展に伴い、2020年には120万人、さらに30年には130万人に上ると推計されている。
 大堀理事長はこの病気について、
「心不全は心臓がギブアップした状態ですが、発症しても適切な治療を行なえばいったん症状は改善します。しかし、あらゆる心臓病が最終的にたどりつく心不全は完治することはなく、生活習慣や他の疾患の進行で症状がぶり返すこともあります。心不全が重症化した患者は新鮮な酸素の入った血液を取り入れることも送り出すこともできないので、『苦しいので死にたい』と訴える人もいる。これは治療する側にとっても精神的に辛いことです」と話す。
 1981年に北海道循環器病院を開設した大堀理事長は、心臓リハビリテーションの先駆けとして、心臓に負担をかけない治療と効果的なリハビリにも取り組んできた。背景にあるのは、「心臓リハビリは急性期だけでなく患者に終生寄り添っていくためのもの」という強い信念だ。
 高齢化により急増する心不全に地域社会はどう対応すべきか。『心不全と診断されたら最初に読む本』を出版したのはそんな思いからだった。
 読んでもらいたいのは、患者はもとより在宅医療や訪問看護に従事する医師・看護師たちだ。
 大堀理事長によると、在宅診療で心不全の患者を診る医師は、症状が悪化した際に入院先を見つけるのが容易でないという。
「心臓の専門病院の多くは、これまでの経過を診ていないからと患者の依頼を敬遠しがち。心不全は生涯にわたる病気です。だからこそ、いろいろな立場の医療従事者が協力し合わなければならない」と語る。
 そんな患者を救い、医療従事者にも一息ついてもらいたいと2016年10月に開設したのが「心不全センター」。心不全の重症化を予防するため、同センターでは心不全が再発した患者に外来で対応。薬と生活改善指導で症状が改善したあとは在宅医療の医師に引き継ぐ取り組みを行なっている。今では「心不全センターなら患者を診てもらえる」と医師らの信頼も厚い。
 大堀理事長は一貫して心臓血管と呼吸器の疾患に対する治療に携わり、現在は虚血性心疾患や心不全患者の心臓リハビリに力を入れている。1985年に開始した心臓リハビリテーションは後に「心臓リハビリセンター」として医師や看護師、管理栄養士、理学療法士などが連携しながら患者のリハビリに当たっている。
「心不全は決して助からない病気ではありません。生活習慣を見直し確実に薬を飲む。高血圧に気をつけてバランスの良い食事を摂り、適度な運動もする。質の良い睡眠を取るなどの自己管理をしっかり行なえば、発症しても重症化せずに済みます」と力を込める。
『心不全と診断されたら最初に読む本』は2月28日に幻冬舎メディアコンサルティング(東京)から発行。長い人生を元気に生き抜くための心臓の労わり方をテーマに、心疾患が起きるメカニズムや症状、ステージによって異なる最適な治療と再発予防策、負担の少ない効果的なリハビリテーションなどについて分かりやすく解説している。
 出版と同時に500部を在宅医療や訪問看護に従事する医師や看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)に配布した。
 大堀理事長は「特に訴えたかったのは、心臓リハビリの重要性です。本書では日常生活の自立や社会復帰を目指す人がQOLを向上し、自分にできることを楽しめる工夫も説いています。心不全になっても日常生活に配慮しながら人生100年時代を生きる。この本がその一助になれば嬉しい」と話している。

『心不全と診断されたら最初に読む本』(228頁、税込み価格1650円)

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社会医療法人 北海道循環器病院
札幌市中央区南27条西13丁目1番30号
TEL:011-563-3911
HP:https://hokujun.or.jp/

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