浜から直接届けるネット産直に活路
いま魚の本当の美味さをひとりでも多く伝えたい

2023年10月号

「獲った魚から命をいただくという気持ちを忘れずにいたい」と乱橋さん

(らんばし・いっぺい)1983年根室市出身。実家は戦前から昆布漁と刺網漁を営んでいたが、20年前に刺網漁に一本化。高校卒業と同時に漁師になり、近年は魚の締め方などを研究。今年に入ってから札幌の企画会社と組んで札幌や関東圏へ魚を直販するシステムづくりに乗り出した。歯舞漁業協同組合正組合員。根室市在住。40歳

歯舞漁協組合員 乱橋一平さん

道東・根室の歯舞漁協に所属し、漁師の3代目として活躍する乱橋一平さん(40)。獲った魚をいかにストレスなく締めて、美味しい状態で届けることに日々心を砕く、人一倍「お魚愛」の強い漁師だ。その乱橋さんは最近、札幌の企画会社とタッグを組み、付加価値の高い魚を居酒屋や料亭に直販する仕組みづくりにも挑戦している。将来を見据えた漁師としての取り組みをはじめ浜と顧客をダイレクトつなぐ新たな直販システムの可能性を乱橋さんに訊いた。

(8月23日取材・工藤年泰)

|魚にストレスを与えない独自の処理で高める品質|


 ──実家は根っからの漁師とか。
 乱橋
 ウチは戦前、祖父の代からの漁師で僕で3代目。根室高校を卒業してすぐに海に出て、今は父親から資格を継ぎ歯舞漁協の正組合員です。元々家では昆布漁と刺網漁をやっていたんですが、親父が刺網好きで5トン未満の船を持っていたこともあり、僕が20歳の時に昆布を廃業し刺網一本にしました。カレイ、ソイなど多種多様な魚介類を獲っています。
 ──根室市内には4つの漁協があり、中でも所属されている歯舞漁協は最も大きい。組合員の数などは。
 乱橋
 正組合員、准組合員合わせて770人ほど。道内でも有数の規模だと思います。
 ──水揚げした魚は漁協を通して売っている。
 乱橋
 漁協経由で札幌中央卸売市場などに出すことが多いですが、最近は企画会社アジアン・スマイルコム(本社札幌)の吉田延明代表に声をかけてもらった産直の仕事にも力を入れています。
 ──その産直では魚の締め方(獲れたて直後の状態を維持させ鮮度を保つ方法)にこだわり、本当の美味しさを消費者に届けることに腐心しておられる。
 乱橋
 魚に対して愛情がないと良い仕事はできません。そして今の時代は、いかに消費してもらうかが大事。今時期によく獲れるのはカレイ、マガレイ、クロガレイなどですが、獲った魚をどれだけ美味しい状態で届けられるかが勝負だと思ってやっています。そこでポイントになるひとつが魚の締め方で、いかに苦しませないよう処理するかが大事になります。
 例えば生きている魚のエラを切ってそのまま海水で泳がすと確かに血が抜けるんですが、魚は苦しくなって体温が上がってしまう。これは魚の身には悪影響で、食べても旨味をあまり感じられない。
 それに対して、すぐに脳を壊して神経(神経束=脊髄)を抜き氷の中でガッチリ冷やして血を抜いてやる。これを僕は「神経抜き活〆」と呼んでいますが、これだと死後硬直を起こす前の状態を長く保つことができる。この処理を施した魚を刺身で食べると旨味が違うことがはっきり分かります。

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揚がったカレイに神経抜き活〆を施す乱橋さん

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