道警・問われる強制捜査の要件
違法逮捕、国賠へ

2023年06月号

ベランダの窓を破ってマンションの一室に突入した警察官たちは、ライフル銃で武装していたという(3月29日午後8時ごろ、札幌市中央区)=近隣男性撮影の動画から

無令状で窓破り突入"緊急逮捕"
裁判所「再度の考案」で勾留却下


札幌中心部の住宅地で3月下旬、面妖な捕り物があった。被害が否定された傷害事件で警察が当事者を騙して同居人に容疑をかけ、任意同行を拒否したその人を「立てこもり」扱いしたのだ。そこから4時間もの間、警察はなぜか逮捕状を裁判所に請求しようとせず、挙げ句は銃で武装した捜査員による強行突入・緊急逮捕に踏み切った。のちに違法捜査の被害が認められて釈放された元容疑者は近く、捜査機関に賠償を求める訴えを起こす考えだ。


取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。54歳

住人との約束破って解錠 同居人「強盗来たのかと」


「『アポ電強盗』かと思った」と、その男性(25)は振り返る。
「急にドア開けられて、とにかく恐かった。ドアストッパーがなかったらそのまま中に入ってこられてたと思います」
 3月29日午後3時50分ごろ、札幌市中央区。住宅街に建つマンションの一室に突如、素姓不明の男たちが現われ、問答無用で室内に踏み込もうとする騒ぎがあった。同じ部屋のベランダの窓ガラスが割られ、そこから突入した一団が住人の身柄を拘束したのは、4時間あまりが過ぎた同夜8時ごろのこと。
 強盗団と思われた訪問者たちは、警察官だった。


 1週間ほど溯る3月22日、同じ部屋でちょっとした「事件」が起きていた。
「大丈夫だって言うのに警察が勝手に事件にしてしまって…。その被害のほうが大きいですよね」
 憤りを隠さない女性(37)は、先の男性の同居人。語られる「事件」とは、他愛のない言い争いがこじれて男性が女性の腕を叩いたという出来事だ。数日を経て女性がその件を打ち明けた相手が親族と共通の知人だったことから、話は思わぬ方向に転がり始める。自身の知らぬところで、女性は深刻な家庭内暴力事件の被害者に仕立て上げられていた。

部屋の主らは、2週間あまりにわたって窓ガラスが割れたままの生活を強いられた(4月16日午前)=住人女性撮影

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現場には機動隊の車輌も登場、一帯が「ものものしい雰囲気」に包まれていたという
(3月29日午後7時過ぎ)=近隣男性撮影

部屋の主らは、2週間あまりにわたって窓ガラスが割れたままの生活を強いられた(4月16日午前)=住人女性撮影

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