告発・絶望の学府⑳
「学校 よくなって」

2022年12月号

亡くなった男子学生は、卒業まで半年間ほどを残した3年生の秋に力尽きた
(10月11日夕、後志管内)

第三者委、遺族に聴取2時間 江差・パワハラ死、調査開始
「事案の重要性に鑑み、できるだけ迅速に調査を進めたい」。10月中旬に最初の会合を設けた北海道の第三者機関は、新たな取り組みに臨む決意をそう語った。道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、長く待たれていた自殺事案の再調査。在学中に亡くなった学生の遺族が求めるのは、真相究明のみならず、その学校が真っ当な教育の場に変わることだ。願いが実を結ぶ日は、いつ訪れるのか。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。53 歳

再調査「迅速に」「誠実に」 初会合直後に遺族と面談


 10月11日夕、後志管内。
「息子の件が『なかったこと』にされるのは違うと思うし、先生たちを許すことはできません。…ただ、私としては『学校がよくなってくれたら』という思いもあるんです」
 時おり声を詰まらせながらそう訴えるのは、2019年9月に長男(当時22)を喪った女性(46)。翌年秋からの匿名告発を機に計53件の被害が認定された北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、その人の息子が受けた最悪の被害は今なお公式には認められていない。
「息子が死んだ事実を後輩の学生さんたちが知らないわけがないので、皆さんが告発の声を上げたことには『自分はそんな目に遭いたくない』という思いもあったんじゃないか、問題をおおやけにできたのは息子の件があったことも大きかったんじゃないか…。そう思うからこそ、学校には変わって貰いたいんです」
 女性はこの日午後、ハラスメントを苦に自ら命を絶った学生の遺族として道の第三者機関の聴き取り調査に応じ、地元のホテル会議室で3人の調査委員と顔を合わせた。当初1時間ほどの予定で設けられた面談は、結果的に2時間を超えることになったという。

亡くなった学生のパソコンに残る文書は、多くが深夜から早朝にかけて作成・保存されたものだった

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初会合直後に遺族と面談した新第三者委は、早ければ11月上旬にも2度めの会合を開くことになっている
(10月11日午前、札幌市内)

立憲民主の現地視察には地元議員ら8人が参加、学生対応などについて関係者から説明を受けた(10月17日午後、檜山管内江差町の江差高等看護学院)=板倉一幸氏提供

初会合直後に遺族と面談した新第三者委は、早ければ11月上旬にも2度めの会合を開くことになっている
(10月11日午前、札幌市内)

亡くなった学生のパソコンに残る文書は、多くが深夜から早朝にかけて作成・保存されたものだった

立憲民主の現地視察には地元議員ら8人が参加、学生対応などについて関係者から説明を受けた(10月17日午後、檜山管内江差町の江差高等看護学院)=板倉一幸氏提供

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