迷走する旭川医大──始まった学長解任への序章
狭まる“吉田包囲網”──

2021年04月号

教授たちからレッドカードを突きつけられた吉田学長

7千万円を稼いだ「兼業」とは

このひと月で国立大学法人旭川医科大学(以下旭川医大)をめぐる状況は大きく変わった。その最たるものが身内からのレッドカード、現役教授らの署名運動による吉田晃敏学長(68)の辞職・解任要求だ。学外では同大元教授らが同様の活動を展開し、吉田学長のガバナンス不全と無関係ではないパワハラ訴訟も教員から起きている。確実に狭まりつつある“吉田包囲網”──。今回は吉田学長に退場を求める現役教授の声、そして同学長に延べ約7千万円の報酬を渡していた滝川市立病院への取材結果を中心にお届けする(本誌編集長・工藤年泰)
 

 現役教授や名誉教授ら24人が発起人として名を連ねる「旭川医科大学の正常化を求める会」(求める会)が吉田学長の辞職もしくは解任を要請するための署名活動を始めたことが明らかになったのは2月9日。以後、求める会は同24日までに全教職員約2千人の過半数を超える1106人から署名を集め、学長選考会議に提出。速やかに職務代理を選任することを要請し、吉田学長本人にも文書で辞職を求めた。これを受けて同会議は3月4日に審議に入り、外部の弁護士らによる調査委員会を同月中に設置し、解任の適否を検討することを決めたという。
 署名活動開始直後の同11日、発起人のひとりである長谷部直幸教授(内科学講座)は、記者に次のような思いを明かした。
 ──活動を始めての手応えは。
「よくやってくれたという声や問い合わせが沢山届いている。昨夜(2月10日)開かれた教授会では、この話題は出なかったが、吉田学長が問い質される場面が結構あった。例えば彼は学内の会議や説明会の内容を外部に漏らした者に懲戒を科すことを全職員に通知したが、そんな学内規定はどこにあるのかという話だ。滝川市立病院から多額の報酬を得ていたことも追及されていた」
 ──吉田学長は「兼業届を出し、医師の派遣にも関与していない」と釈明している。
 

吉田学長が滝川市立病院を訪れたのは14年間でたった3回だった

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