首相批判封殺の波紋〈14〉 
「危険なのは警察だった」

2021年02月号

排除問題への関心はなお大きく、直近の弁論でも定員を10人超上回る41人の傍聴希望者が抽籖に並んだ(12月21日午後、札幌地方裁判所)

野次排除訴訟に強力援軍。新たに3人の証言集まる

本誌で報告を始めて足かけ3年になる首相演説野次排除事件で、排除の現場を目の当たりにした複数の市民が新たな証言を買って出たことがわかった。当事者の裁判提起を知って協力を申し出たのは、札幌市内の男女3人。証言は昨年11月までに陳述書にまとめられ、札幌で続く国賠訴訟の原告側証拠として提出された。警察が主張する「トラブル防止」なる排除理由を、目撃者たちはどう評価するのか――。(取材・文=小笠原 淳)
 

現場の異様さ語る新証言「やめろ」一声で取り囲み

 
 札幌市北区の会社員・岩手光雄さん(60)はその日、札幌中心部の大通地区で警察官に“排除”されかけた。参議院議員選挙期間中の一昨年7月15日――のちに首相演説野次排除事件の発生日として知られることになる日の、夕刻のことだ。
「普通の人がいませんでした」と、岩手さんは振り返る。選挙カーの上でマイクを握っていたのは、地元の与党系候補。別の日に野党候補の演説を見た時の聴衆と、その日集まっていた見物人たちとは、あきらかに違っていたという。
「なんというか、熱気がないんです。自分の意志で足を運んだというよりも、組織的に集められたようにしか見えませんでした」
 すぐ隣りに、周囲とは異なる佇まいの女性3人が立っていた。これも事後に知れることだが、その3人は年金制度に疑問を呈するプラカードを掲げようとして警察に阻止された人たち。至近にいた岩手さんは、警察官が彼女らに「歩道の端だから危ない」などと告げる声を聴き「何も危なくないじゃないか」と訝った。しかし3人はほどなくスーツ姿の男に促され、その場から離れざるを得なくなる。札幌駅前通りを挿んで向かい側に駐まる選挙カーでは、安倍晋三・前総理大臣の応援演説が始まろうとしていた。
 きっと声が上がるだろう――。岩手さんが思い出していたのは、その2年前の夏に東京・秋葉原で起きた出来事。東京都議選の応援演説に立った安倍首相は、多くの聴衆から一斉に「安倍やめろ」コールを浴び、「こんな人たちに敗けるわけには」の名言を残すことになる。地元の札幌でも、同じ光景を見られる可能性は充分ある筈だった。
 ところが。「演説が始まっても、何のコールも起きないんですよ」
 

岩手光雄さんは、ヤジポイ関係者らに「10人めの被害者」として知られることになった

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北海道警察が証拠提出した動画は、原告側証拠の〝借り物〟だった※マル囲みなどの画像加工は道警

桃井希生さんの排除を目撃した中雅子さんは、咄嗟の判断で複数の写真や映像を撮影した(一昨年7月15日夕、札幌市中央区のJR札幌駅南口広場)

排除事件を考えるシンポジウムに招かれ、JR新札幌駅前での出来事を報告する佐々木勝義さん(一昨年10月22日午後、札幌市中央区のかでる2.7)

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