狩人、銃を奪われる②
「丸投げの挙句、犯罪者に」

2020年8月号

初弁論の法廷には地元猟友会の主要メンバーが足を運び、意見陳述を見守った(7月3日午前、札幌地方裁判所前)=中央が原告の池上治男さん

銃所持許可めぐる訴訟、初弁論。地元ではクマ出没も「撃てない」

「国民の生命を守るべき警察が対策を我われに丸投げした挙句、犯罪者に仕立て上げた」――。7月上旬、ヒグマ駆除をめぐる銃所持許可取り消し問題が法廷に持ち込まれた。公安委員会を訴えたハンターは意見陳述で駆除の正当性を主張、処分の取り消しを求めている。クマの目撃が相継ぐ地元では「誰も引き金を引けない」状態が続いており、訴訟の行方は今後の有害獣対策に大きく影響することになりそうだ。
 

「撃ったら何されるか」

 
 北海道猟友会砂川支部の管轄域は目下、「ヒグマ出没ラッシュ」の只中にある。6月末から7月初頭にかけては、高速バス停留所附近など地域住民の生活圏内で目撃情報が相継いだ。おりしも現在はクマの発情期で、とくに牡の行動範囲が拡がっているという。だが――、
「誰も撃たないね。撃ったら警察に何されるかわかんないもの」
 そう肩をすくめるのは、現役ハンターの1人(68)。本誌前号で報告した銃所持許可取り消し問題の発生以降、地元では銃による鳥獣駆除に協力できるメンバーがいなくなった。クマと住民との接触機会が増え、人に危害が及びそうになったとしても「撃ったら処罰される」可能性がある以上、発砲には消極的にならざるを得ないというのだ。
「いよいよになったら罠で獲って、檻のまんま道警本部の前まで届けてあげようか、って。処分するなり、あるいは飼うなり、警察のいいようにすればいいんじゃないですか」
 

親子連れで現われたヒグマはこの翌日、同じ場所でシカを襲った可能性があるという(6月30日、砂川市内)=北海道猟友会砂川支部提供

親子連れで現われたヒグマはこの翌日、同じ場所でシカを襲った可能性があるという(6月30日、砂川市内)=北海道猟友会砂川支部提供

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