函館消防・不正手当問題〈6〉
「多くが不問に」――

2020年2月号

泉卓真氏が社長を務める「いずみホールディングス」の本社(札幌市西区二十四軒)

内部告発当事者が本誌に手記。指摘の疑惑、函館消防は否定

昨年春に内部調査が始まり、同9月にその結果が報告された函館市消防の夜間勤務手当不正支給問題。11月には全消防職員の8割以上を占める307人が訓告などの処分を受け、総額1200万円以上の返納が決まった。一連の問題が終息したかにみえる中、昨年末にある人物が本誌編集部へ寄せた手記には、組織の内部事情が生々しく綴られている。本号にその全文を採録し、改めて問いかけたい。内部調査ですべての膿を出し切ることはできたのか――。(取材・文=小笠原 淳)
 

調査と並行して“犯人捜し”

 
 今回、本誌に約3000字の手記を寄せたのは、昨年11月まで函館市の消防署に勤めていた男性。より具体的に言えば、在職中に時間外勤務手当の不正受給を内部告発した人物だ。3月下旬、函館市に匿名で手紙を送り、不正の実態を告発して適切な調査や関係者の処分などを求めた。
 告発を受けた同市消防本部(近ちかあらし嵐伸幸消防長)が内部調査を始めてからの経緯は、本誌昨年6月号以降の誌面で報じた通り。本稿記者は同本部への取材や議会傍聴などのほか、現役職員から具体的な証言を受ける機会があり、公式に発表された情報に未発表の疑惑を盛り込む形でこの問題の報告を続けた。同じ件で取材にあたった報道大手の記事中にも、職員とみられる人物の証言がたびたび採録されている。
 今回寄せられた手記によると、消防本部は不正調査のかたわら、これらの証言者の特定を急いでいたようだ。まさに手記の書き手自身が情報漏洩を疑われ、パソコンのデータを調べられるなどの出来事があったという。
 内部告発は「公益通報者保護法」でその権利を認められており、報道機関など組織外部への告発も「通報」とみなされる。また函館市消防は議会報告の場で、いわゆる“犯人捜し”はしないと明言していた。手記の内容が事実ならば、消防本部による告発者への不利益な扱いがあったことが強く疑われるところだ。手記の主は結果として、精神的苦痛を理由に辞職せざるを得なくなった。
 

一通の手紙が、大規模な不正をあかるみに出すことになる(昨年3月に函館市が受けた内部告発文)

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