飛栄建設と北大教授がコロナ対策のクリーンブースを共同開発
診察ブースのウイルスを除去。簡便な設置で感染防止を実現

2020年12月号

簡便に設置できクリーン度が高い診察用ブース

飛栄建設(本社札幌・松田順治会長)が、新型コロナウイルス対策として医療機関向けに診察用クリーンブースの提案を始めた。すでに市立札幌病院(札幌市中央区)や国立病院機構北海道医療センター(同市西区)に設置され、診察に利用されている。新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が懸念される中、病院などでは万全のコロナ対策が求められるようになっており、感染を防ぐクリーンブースの需要が高まりそうだ。
 

市立札幌病院などへ納入。患者の一時収容にも対応

 
 飛栄建設は、一般向けの戸建て住宅の新築とリフォームをメインに手掛けている工務店。創業者で代表取締役の松田順治会長(73)は、旧国鉄苗穂工場に勤務、ディーゼルカーの車両整備などを担当していたが、民営化を前に勤続20年間で退職。義兄の工務店で12年間勤めた後、一級建築士や宅地建物取引士の資格を取得して平成7年に飛栄建設を設立した。
 松田氏は、注文住宅を手掛けるうちにシックハウス症候群(化学物質過敏症などが原因で生じるさまざまな体調不良)に悩んでいる人が多いことに気づく。壁や家具、クロスなどに使われる接着剤などに異常に反応してしまう症状で、松田氏は有効な方法はないかと研究を重ねた。
 ある時、特殊酵素を使った「抗酸化溶液」が化学物質過敏症の症状を和らげる報告があることを知り、白老町虎杖浜に住む開発者の一級建築士、会田伸一氏に住宅への応用について相談。その結果、この「抗酸化溶液」を住宅の基礎や壁の内側、床下に塗り込むことで、家の中にある活性酸素だけでなく有害な化学物質を分解除去し、効果が半永久的に続くことが分かったという。
 以来、松田氏は「抗酸化健康住宅」としてシックハウス症候群に悩む人たちに提供してきたが、この技術がクリーンルームを開発していた北海道大学電子科学研究所の石橋晃教授の目に留まる。石橋教授は元ソニー中央研究所の研究者で、青色半導体レーザーの開発を進めてきた人物でもある。北大に転じてからは、身近で簡単なクリーンルームの開発を進めてきた。
 石橋教授が開発したクリーンルーム技術は、従来の方法と異なり室内空気を循環させて微粒子をフィルターで捕捉して清浄環境にするもので、低コストでクリーン化が可能。既存施設が簡単にクリーンルームになるため市場が広がると期待されている。だが課題となったのは、狭い空間で利用する際に化学物質過敏症の人が利用できないことだった。
 そんな中で石橋教授の特許申請などを手掛けていた東京の弁理士が、たまたまJR北海道の弁理業務を手掛けていたことから、先の抗酸化健康住宅を提供していた松田氏を紹介。それ以降、石橋教授と松田氏は共同で戸建て住宅向けクリーンルームの開発を進めてきた。
 こうした経緯の中から生まれたのが、医療機関での使用を念頭に置いた新型コロナウイルス対策のクリーンブースだった。
 寸法は縦2メートル、横1メートル20センチ、高さ2メートルで畳1畳ほどの簡易型。ブース内を医師用と患者用に分け、真ん中をビニールシートで仕切る形になっている。医師と患者の入口を分け、仕切り用ビニールの一部に穴を空けて医師が手を入れて患者を診察できる。無人状態なら米国連邦規格209Dの空気清浄度クラスで、15分でクラス100以下になる(※約30センチ四方の空気中に含まれる0・5ミクロン以上の大きさの微粒子100個以下の状態がクラス100の値)。
 発熱外来などで多く使われているのは、陰圧にした診察ブース。石橋教授と飛栄建設が開発した診察用クリーンブースは陰圧ブースよりも低価格で、ランニングコストも1時間2円程度。さる7月には市立札幌病院、8月には北海道医療センターへの納入も果たした。石橋教授のクリーンルーム技術の研究は、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)に採択され、その一環として北大病院にもこのクリーンブースが納入され、実際の数値計測などエビデンス収集が行なわれることになっている。
 冬場を迎えて新型コロナウイルスの感染拡大とインフルエンザの同時流行も懸念され、診察用クリーンブースだけでなく患者を一時的に収用でき、なおかつ簡単に設置できる数人収容の医療用クリーンブースの必要性も叫ばれている。飛栄建設ではこうした需要を見据えて販促活動を行なっていく予定だ。
 飛栄建設では病院向け以外でもこのクリーンブースを家庭向けに3件、学習塾の教室向けに1件納入している。家庭用は感染症対策、学習塾は集中力アップの対策として利用されているという。
 

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