道警不祥事から考える〈46〉
「筋が通らず、矛盾多くて」

2020年12月号

起訴されたつきまとい行為は約4年間に及んだが、不規則な空白期間があったこともわかっている(北海道警察が一部開示した『処分説明書』)

元警官告白、交通捜査の実態。札幌では違反捏造で懲戒5人

やり甲斐や達成感に満ちていた筈の職場は、矛盾まみれで筋の通らない仕事だらけだった――。自らが起こした事件の公判でそう吐露したのは、ストーカー行為などで起訴された元警察官。交通捜査に携わっていた彼にとって、取り締まりに伴う「矛盾」への疑問は増える一方だったという。道警ではおりしも、札幌の交通警官が違反捏造で処分され、多くの不正があきらかになったばかり。互いに関連しない筈の2つの不祥事は、何を語っているのか。(取材・文 小笠原 淳)
 

問われ続けた犯行の理由「わからない」と元警察官

 
 10月29日午前。その人は、被告人としての2度めの公判で函館地方裁判所(日野進司裁判官)の証言台に着いていた。
「…当時の気持ちは正直、わからないです。普通の状態ではなかったのかな、と」
 裁判官などからたびたび「もう少し大きな声で」と注意を受けながら質問に答え続けたのは、函館西警察署の元巡査部長(41)。同交通課に籍を置いていた8月1日夜、一般女性への暴行・脅迫の疑いで逮捕され、同21日に強制わいせつ未遂で起訴された。翌9月16日に「停職1カ月」の懲戒処分を受け、ほどなく辞職、同24日にはストーカー規制法違反で追起訴されている。
 その翌日に設けられた第1回公判では、のちの被害女性が4年前の冬に元巡査部長から速度違反の取り締まりを受けた経緯が明かされた。この時のやり取りで女性に好意を覚えた元巡査部長は、電話やLINEでその人に連絡を試み、また身分を偽って面会を持ちかけるなどしたが、結果的に親しい間柄になることはできていない。「もう連絡しないで」と告げられた彼はその後しばらくの間、女性への思いを封印し続けたが、本年7月中旬になって「自分でもよくわからない」という心理状態でその人の個人情報を照会、複数回のつきまといや待ち伏せを重ねた挙げ句、同27日夜に被害女性の自宅敷地内で同女性の両肩を掴み(暴行)、「大声を出すと殴る」などと脅して(脅迫)逮捕された。
 

元巡査部長は、捜査段階から逮捕容疑を認めていたという(函館市の道警函館方面本部)

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道警の本年の免職処分は、速度違反を捏造した警部補で2件めとなる(札幌市西区の道警琴似庁舎)

法廷で自問するように「わからない」と繰り返した元巡査部長は、記者の問いかけにも同じ答えを返した(10月29日午前、函館地方裁判所前)

元巡査部長は、捜査段階から逮捕容疑を認めていたという(函館市の道警函館方面本部)

道警の本年の免職処分は、速度違反を捏造した警部補で2件めとなる(札幌市西区の道警琴似庁舎)

法廷で自問するように「わからない」と繰り返した元巡査部長は、記者の問いかけにも同じ答えを返した(10月29日午前、函館地方裁判所前)

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