「森林づくりとSDGsの下川町」で地元を二分する町長選
現職・谷氏に新人・木下氏が挑戦 選挙で問われる「地域振興」の虚実

2019年4月号

持続可能な森林づくりを標榜し、SDGs のモデル自治体に選定される一方で、町内で最も美しい川をつぶして建設中のサンルダムが完成間近だ

持続型の森林づくりを標榜し、国の環境未来都市事業やSDGs(持続可能な開発目標)のモデル自治体にも選定された上川管内下川町で、16年ぶりの本格的な町長選が行なわれる(4月16日告示・同21日投開票)。2期目をめざす現職の谷一之氏に、農協運動の経験が長い前町議会議長の木下一己氏が挑戦する。保守系同士の選挙戦の背景にあるのは、国のモデル事業や前町政からの懸案事業に対する捉え方の違いや、これらの公共投資をめぐる町と町議会の確執の構図だ。道北の過疎の町を二分する選挙戦を、下川町で生まれ育った住民の視線で取材した。(ルポライター・滝川康治)
 

住民の安全・安心こそ基本。両陣営が競り合う選挙戦に

 人口3300ほど、総面積の9割を森林が占める道北の下川町。当年65歳の筆者は、町内の開拓農家に生まれ、半世紀ほどこの町で暮らす。
 吹雪模様になった2月のある晩、知人の通夜に参列するため車で市街地に向かうが、その日は町道に除雪車が入らず、難儀した。下川町の65歳以上の高齢者比率は約40%。市街地に流雪溝が整備されたが、雪の投入に苦労する年配者も多いと聞く。「下川は森林づくりや環境関連で頑張ってるね」「素晴らしい町だね」と、札幌の行政関係者らによく言われる。ここ10年ほどの間に国の環境未来都市やSDGs(持続可能な開発目標)のモデル自治体に選定され、虚像が流布された結果だが、どこが素晴らしいのかと恥ずかしくなる。決して悪い町ではないが、北海道のありふれた田舎町にすぎないというのが、生まれ育った者の実感だ。住民に欠かせないのは安心・安全な暮らしではないのか──。
 その森林とSDGsの町で、土木会社・谷組の元社長で町議会議長も務めた現職の谷一之氏(64)に、北はるか農協の組合長やホクレン代表監事などを務めた前町議会議長の木下一己氏(71)が挑む、16年ぶりの本格的な町長選が行なわれる。両氏とも元自民党員で保守系同士の選挙戦。日を追って熱くなり、両陣営が競り合う展開になってきた。

現職の谷 一之氏(たに・かずゆき)1955 年下川町生まれ。77年に日本大学工学部を卒業し、同町の㈱谷組に入社(99 年、代表取締役社長に就任)。95年に下川町議会議員に初当選し、連続5期(2011 年、議長に就任)務めたのち、15 年の町長選で初当選。総務省過疎問題懇談会委員や国立研究開発法人・森林総合研究所評議員なども務める

前町議会議長の木下 一己氏(きのした・かずみ)1948 年下川町生まれ。71 年に上川支庁農業学園酪農科を修了。農業に従事するかたわら、北はるか農協代表理事組合長や北海道農業開発公社副理事長、ホクレン代表監事などを歴任。95 年から2003年までと、2015 年から昨年12 月まで町議会議員を務めた(3期目は議長)

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開設から1年余り、赤字経営が続く町の宿泊研修施設「結いの森」

町役場の玄関ホールに設置されたSDGs の紹介コーナー

障害者を雇用したチョコレート製造施設工場の整備計画が論議を呼んでいる旧一の橋小校舎

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前町議会議長の木下 一己氏(きのした・かずみ)1948 年下川町生まれ。71 年に上川支庁農業学園酪農科を修了。農業に従事するかたわら、北はるか農協代表理事組合長や北海道農業開発公社副理事長、ホクレン代表監事などを歴任。95 年から2003年までと、2015 年から昨年12 月まで町議会議員を務めた(3期目は議長)

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