北竜町の“隈研吾頼み”に死角はないのか
著名人に託す再生に賛否両論。問われる「ひまわりの里」構想

2019年12月号

完成間近な隈氏が設計した「やわら保育園(仮称)」(10月24日撮影)

町民自身が主体となるまちづくりを

シーズンには30万人近くが訪れるひまわりの名所として知られる雨竜郡北竜町(佐野豊町長)。その北竜町が、新国立競技場をデザインした世界的建築家で東京大学教授の隈研吾氏の力を借りて「町を世界に発信する」取り組みを進めようとしている。同氏の設計による保育所建設や観光スポット「ひまわりの里」のリニューアルが、それ。完成間近な保育所は来年度から約30人の乳幼児らが入所予定。ひまわりの里のリニューアルでは、基本計画策定委員会が来年2月に基本計画をまとめる予定だ。しかし、この“隈研吾頼み”には町民などから疑問の声もあがる。人口減少、少子高齢化に悩む北海道の自治体が著名人に託す活性化策に死角はないのだろうか。(佐久間康介)
 

20数年前に縁があった隈氏

 
 北竜町は、前出の「ひまわりの里」や低農薬米「ひまわりライス」で知られる農業と観光の町だ。人口は1960年の6463人をピークに減少を続け2015年には2000人を切り、今年11月1日現在で1812人。北空知地域の沼田町や秩父別町、妹背牛町と比べて人口は最も少ない。
 財政健全化の指標のひとつである実質公債費比率(自治体収入に対する負債返済の割合。18%以上になると国や都道府県の許可が必要)は、18年度で北竜町9・5%、妹背牛町10・2%、秩父別町7・5%で沼田町はゼロ%で、比べるとまだ北竜町には余裕があるように見える。だが同町の地方債の残高をみると16年度末が38億9467万円、17年度末が42億2302万円、18年度末が44億2210万円と年々増えており、18年度末の人口一人当たりの借金は238万円にのぼる。
 そうした中、東京五輪がらみで一躍有名になった隈氏を、なぜ保育所建設やひまわりの里リニューアルに起用するのか。世界的建築家であれば当然設計費は高くなると想定され、特に隈氏の場合、木を多用した建築のため鉄筋コンクリートよりも割高になる懸念もある。そもそもなぜ隈氏なのかという素朴な疑問も出てくる。
 隈氏と町の関係について佐野豊町長は記者にこう語る。「隈先生とは、96年と97年に町で開催された『ひまわりシンポジウム』にパネラーと参加してもらったのが最初。その時『北竜町はランドスケープのまちだ』と言ってくれました。皇居の二重橋やフランスのベルサイユ宮殿にある緩やかな傾斜、すなわちランドスケープが人々を感動させると。『北竜町にはそのランドスケープがあるからそれを資産としたまちづくりを行なったらよいのではないか』と提言いただいた」
 

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北竜町を後押しする隈研吾氏

佐野豊町長

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