抜群のアクセス環境の中で診療体制を大幅に強化拡充
医療法人我汝会さっぽろ病院がJR苗穂駅直結の立地に新築移転

2020年12月号

JR苗穂駅北口から徒歩1分以内の我汝会さっぽろ病院(札幌市東区)

Medical Report

人工股関節置換術で国内トップクラスの治療実績を誇り、道内外から患者が訪れている医療法人社団我汝会「えにわ病院」(木村正一理事長・恵庭市・150床)。この系列病院である「さっぽろ病院」(春藤基之院長・50床)が9月下旬、札幌市東区北24条からJR苗穂駅北口エリア(東区北5条)に新築移転オープンした。急増する手術に対応するためオペ室をはじめ診察室、検査室など診療体制を大幅に拡充。365日の通年リハビリやさらなる早期離床、早期退院を目指しながらより質の高い医療を提供していく計画だ。「JR苗穂駅北口直結と交通面のアクセスの良さが強み。ここではこれまで以上に症例数を増やしていきたい」とする春藤院長に新病院の概要と抱負を訊いた。(10月22日取材)
 

需要に応じて診療体制を拡充

 
 2007年当時、増田武志理事長(現会長)の下で我汝会が「札幌でも同水準の医療を提供したい」と計画し、旧安井整形外科病院を経営統合して北区にオープンしたのが「さっぽろ病院」。施設の老朽化に伴い2010年4月に東区に移転したが、患者の増加に伴い近年は施設が手狭になっていた。
 このような中で2018年2月、JR苗穂駅の移転に伴う新駅北口の再開発でJR北海道の研修センター跡地約1.4haのうち6700㎡を我汝会が取得し「さっぽろ病院」の移転のめどが立った。この経緯について春藤院長は、「JR北海道の研修センター跡地は、札幌市のまちづくり計画で医療施設や高層マンション、サービス付き高齢者住宅、商業施設が構想されており、そこに私たちの計画がうまく当てはまった。タイミングよく交通の便のよい土地に移ることができました」と説明する。
 9月28日に新築移転オープンしたRC造5階建てのさっぽろ病院はJR苗穂駅北口から50mと至近。延床面積は約7000㎡で広さは旧病院の1.5倍に拡充された。1階は受付と外来診察室の他に放射線や最新のCT、МRIなどを配備した検査部門を集約。以前は5室(うち内科1室)だった診察室は8室(同)に。2階は手術室と管理部門で手術室は2室から4室に増やし、広さも十分に確保した。3階と4階は病棟となり、大部屋はベッドとベッドの間に間仕切り家具を配置することで居心地の良さやプライバシーに配慮した。
 急増する手術に対応するためベッド数は現在の50床から1年後をめどに88床まで増やす計画だ。5階のリハビリ室も以前の1.5倍の面積となり余裕の広さ。駐車場は130台収容可能だ。
 さっぽろ病院の患者の8割は札幌圏からで2割弱が旭川、帯広、函館、北見などだという。
「JR苗穂駅直結ということもあり、道北やオホーツク圏の患者に喜ばれています。手術室が広くなったので医師や医療スタッフが快適に仕事をできる環境が整ったことは言うまでもありません。病棟の大部屋も以前はベッド周りをカーテンを仕切っていましたが、新病院ではオーダーした間仕切り家具を配備しているので、より快適に入院生活を送ることができます」(春藤院長、以下同)。
 現在、医師は11人体制。股関節治療で知られる春藤院長を始め脊椎外科、膝関節、上肢・肩関節と各部門の整形外科専門医6人のほかに麻酔科医4人、内科医1人が揃う。看護師は約70人を配置。また365日の通年リハビリ導入に向け、理学療法士を8人から12人に増員した。
 同院では早期離床と早期退院を目指し、可能な限り手術の翌日から午前と午後の2回リハビリを行ない、外来通院の場合も保存療法を主にそれぞれの患者に適した運動療法を実施している。ただ、日曜と祝日は理学療法士が不在になるためリハビリは行なっていなかった。理学療法士を増やしたことでシフト制の導入が可能になり、近く365日の通年リハビリに対応していく。
「筋肉は2、3日使わないとあっという間に落ち、以前の筋力取り戻すには長い時間がかかります。当院で手術の翌日から運動療法を実施しているのは筋力の低下を防ぐためです。リハビリの強化でさらなる早期治療、早期退院を目指したい」
 このさっぽろ病院の手術件数は年間1697症例(2019年)。このうち人工関節置換術は884症例と半分以上で、本院の「えにわ病院」に続き道内2番目の実績を誇る。884症例の内訳は股関節が507症例、膝関節365症例、肩関節が13症例となっている。
 

高水準な診療体制を整えた春藤院長 (しゅんどう・もとゆき)旭川市出身。1989年北海道大学医学部卒業。北海道大学病院、市立旭川病院、斗南病院(札幌市)、小林病院(北見市)を経て93年から「えにわ病院」勤務。2007年「さっぽろ病院」副院長、12年4月に同院長に就任。日本整形外科学会整形外科専門医。57歳

道警 交通違反取締りに潜む闇

稼ぐ目算外れた豊浦町のバイオガス発電プラント

文献調査をめぐって揺れる寿都町の住民運動の現在

JR苗穂駅直結 抜群のアクセスで診療体制を大幅強化の我汝会さっぽろ病院。

低侵襲手術と術後リハビリ

 
 春藤院長が手がける最新の人工股関節置換術について解説していただいた。
「股関節は寛骨臼(かんこっきゅう)と呼ばれる骨盤の外側、寛骨中央部のカップ状の陥凹部と、大腿骨の一番上にある大腿骨頭で形成されています。股関節は脚を前後に動かすほか、開いたり回す動きができる関節であり、骨盤から脚にかかる体重を最初に受ける重要な役割を果たしています」
 この股関節の軟骨が加齢などで減り関節が変形するのが「変形性股関節症」だ。歩き始めた時や立ち上がる時にお尻や太ももの付け根に痛みを感じ、変形が進行すると股関節の動きが悪くなる。さらに症状が進むと骨頭がつぶれ、悪いほうの脚が短くなる。
「変形性股関節症は、寛骨臼のかぶりが生まれつき浅い臼蓋(きゅうがい)形成不全が元で発症する人が多い。股関節は骨盤から脚にかかる体重を受け止める場所。臼蓋形成不全で体重を受ける面積が狭いと、そこに体重の負荷がかかることで軟骨が減り股関節が変形してくるのです。日本の変形性股関節症の8割は臼蓋形成不全によるものですが、股関節は筋肉や靭帯に囲まれているため症状が出にくく、進行してから気付く人も多い」
 患者の9割が女性で、中でも中高年の女性が多いのはホルモンの関係や出産による骨盤の歪みやズレとされる。ただ、個人差もあり乳幼児健診で見つかることもある。子供の頃から痛みがあったが我慢をして足を引きずって歩き、30歳を過ぎて重症化してから治療に訪れる人もいるという。股関節の痛みが強いと日常生活も困難になる。自覚症状がある場合は早めに整形外科を受診したい。
 症状が軽い時は体重のコントロールや筋肉のトレーニングで股関節の負荷を減らしたりで補うが、軟骨が減り痛みのひどい時は外科的手術を行なう。
 外科的手術で行なわれる治療のひとつに「寛骨臼骨切り術」がある。これは骨盤の骨の一部を切り、移動させることで骨頭を覆う屋根の面積が広くなる状態にして、骨切りした部分を固定する手術だ。
 さらに関節の変形が著しくなったケースでは、悪くなった股関節の代わりに金属やセラミックに置き換える「人工股関節置換術」を行なう。日本では40年以上前からこの手術が導入されているが、長い間緩みや脱臼が生じるなど耐久性に課題があった。このためスポーツや日常生活の制限があったが、近年は摩耗に強いセラミックなど耐久性のある優れた素材が開発され、低侵襲な手術法も確立されている。
 同院の人工股関節置換術では切開範囲を7~8センチにし筋肉や腱を切らないで人工物を挿入する手術法「前方進入法」を導入。体への負担も少なく40分ほどで手術を終えることができる。
「今は材質の良いセラミックが使われるようになり、昔のように挿入物が破損することはほぼなくなりました。手術法も前方進入法のように低侵襲なものに進化しています。10年ぐらい前までは術後2週間前後の入院が必要でしたが、今は手術の翌日からリハビリを始め、たいていの人は術後5日間で退院することができます」



 中学時代から野球部に所属してきた春藤院長は、肩や肘を痛めた経験から整形外科医を目指したというアスリート系のドクター。北海道大学医学部を卒業後、北大病院を振り出しに市立旭川病院や民間病院を経て93年からえにわ病院に勤務。2007年にさっぽろ病院副院長、12年4月に院長に就任した。
 えにわ病院に勤務していた頃は大学野球部の先輩であった当時の増田理事長や菅野大己医師(現えにわ病院名誉院長)から医師としての心構えや技術を学んできたという。特に印象に残っているのが彼らが常に患者に寄り添い診療にあたる姿だ。
 そんな春藤院長には、札幌でも恵庭と同水準の医療を提供してきたという自負がある。人工関節置換術の新たな拠点としてスタートを切った現在、どのような目標を胸に抱いているのだろうか。
「新病院の認知度を高めるため医療公開講座なども計画しており、まずは手術の症例数を増やすことを考えています。ひとりでも多くの患者さんを治療しQOLを改善することは、私たちのやってきた医療が間違っていなかった証明になります。
 もうひとつは先にも述べた通年リハビリの実現です。人工股関節置換術は術後5日で退院することができますが、さらなる早期離床、早期退院を目指したい。そのためにもリハビリをより一層強化していく必要があります。スタッフと一丸となり、さらなる高水準の医療を提供していきたいと思います」
 好立地な環境で新たに診療体制を整えた我汝会さっぽろ病院の今後に期待していきたい。
 

設計で力を注いだ手術室は広く使いやすいものに

MRIは最新タイプ(1.5テスラ)2台が稼働

大部屋もプライバシーに配慮した造り

旧病院より広くなったリハビリ訓練室

高水準な診療体制を整えた春藤院長 (しゅんどう・もとゆき)旭川市出身。1989年北海道大学医学部卒業。北海道大学病院、市立旭川病院、斗南病院(札幌市)、小林病院(北見市)を経て93年から「えにわ病院」勤務。2007年「さっぽろ病院」副院長、12年4月に同院長に就任。日本整形外科学会整形外科専門医。57歳

設計で力を注いだ手術室は広く使いやすいものに

MRIは最新タイプ(1.5テスラ)2台が稼働

大部屋もプライバシーに配慮した造り

旧病院より広くなったリハビリ訓練室

 



医療法人社団 我汝会 さっぽろ病院
札幌市東区北5条東11丁目16-1
TEL:011-753-3030

道警 交通違反取締りに潜む闇

稼ぐ目算外れた豊浦町のバイオガス発電プラント

文献調査をめぐって揺れる寿都町の住民運動の現在

JR苗穂駅直結 抜群のアクセスで診療体制を大幅強化の我汝会さっぽろ病院。

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.