札幌佐藤病院グループの「しんふぉに~28」
障害者と健常者の垣根を超えて居住、就労、地域交流を一体化

2018年9月号

グループの集大成である複合施設「しんふぉに~28」(札幌市東区北28条東2丁目2-20)

Medical Report

札幌佐藤病院グループ(医療法人社団大藏会・佐藤亮藏理事長)は8月1日、高齢者・障害者住宅を中核にレストランや地域交流センター、就労支援事業所などを備えた複合施設「しんふぉに~28」を札幌市内東区にオープンした。心身のハンデの有無に関わらず、障害者や高齢者が安心して活き活きと暮らし、働き、コミュニティ活動への参加など地域住民との交流も促す同施設。長年にわたり退院者の居場所づくりに力を入れてきた札幌佐藤病院グループの集大成と呼べる取り組みを取材した。
 

退院者の居場所づくりから生まれた地域との共生空間

 1971年9月、札幌市東区に精神科専門病院として誕生した札幌佐藤病院(244床)。同病院と関連法人がかねてより力を入れてきたのが、受容・寛容・共生の理念に基づく退院者の自立した生活と社会復帰の場の提供だ。約20年前には道内におけるグループホームの先駆けとなる援護寮・翔(現在の前田記念グループホーム翔、東区伏古)を開設。11年前には札幌佐藤病院グループ初の高齢者対応住宅・スリール(※仏語で笑顔の意)の第1号館を手稲区にオープンした。
 退院者の受け皿となる居場所をつくろうと始まった同グループの取り組みは、入所者やその家族の求めに応じて自ずと事業の幅を広げていく。その一例が農業を通じた就労支援だ。
 入所者の生活に欠かせない食。スリール第1号館では、使用する食材の一部を敷地内の農園で栽培、供給することを開始。安心・安全な自家栽培の食材提供は好評を呼び、農作業ができる施設を複数展開していくきっかけのひとつとなる。この取り組みは入院患者の園芸療法や退院者の農園での就労にも結び付いていった。現在は同グループとして北区屯田に就労支援農場(約3000坪)を運営しているほか、就労支援センター「いるば」では屋内で葉物野菜や茸の栽培も行なっている。「畑を始めてからは、それまで外に出ようとしなかった方も、農作業には参加するようになりました。また札幌佐藤病院の中庭にも畑を設けて、希望する入院されている方に農作業体験をしてもらっています。農作業は“働いている”という実感が強く湧いてくるようですね」と、札幌佐藤病院の藤田昌人事務長は話す。
 入院患者や入所者らが気軽に外食を楽しめるよう、そして同グループの関係者らが丹精込めて作った農作物を地域の人々にも味わって欲しいとスタートしたのが、地下鉄東豊線・環状通東駅最寄の新和食カフェ温(おん)をはじめとするレストラン事業の展開だ。
 ハンデを負った人も自分らしく生活できるように、そして地域とつながりながら暮らしていけるように──。この目標の実現のため必要な環境を整えてきた同グループの取り組みは、就労支援や食を通じた地域とのつながりなどの好循環を生み出すこととなった。
 

誰でも利用できるレストラン幸福(しあわせ)地元食材にこだわったメニューが目白押し(8月1日)

就労支援のほか地域コミュニティ活動にも貢献できる同施設での陶芸

佐藤亮藏理事長

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レストランや文化・娯楽施設
地域住民と共に人生を楽しむ

 今回オープンした「しんふぉに~28」は、入所者の生きがいづくりや地域との共生など、札幌佐藤病院グループのこれまでの取り組みを集約した象徴的な複合施設といえる。
 施設は国税局の独身寮だった土地建物を購入して改修したもの。敷地面積は約1900坪強、建物の延床面積は約1700坪に強にのぼる。
 正面玄関やレストランなどがある中央の建物を挟んで、東西に居住棟を設置。東棟の「スリール大学村館」は、介護を必要とする高齢者や障害者が対象で75室を用意しており、フロアごとに入所者用の食堂を設けている。朝・昼・夕の食事は入居者それぞれの事情に配慮して、可能な限り要望に合わせた食べやすいメニューを提供する。
 西棟の「奏館」は40室で、介護などを必要としない60歳以上の人が対象。居室は風呂・トイレ別で、ミニキッチンが付いた8畳のワンルームで、食事は希望者に有料で提供する仕組みだ。この住まいを拠点に仕事に出ることや地域コミュニティ活動への参加も積極的に促していく方針で、同施設を通じた就労紹介も行なっていく予定だ。
 セキュリティ面ではスタッフが24時間365日見守り対応。また医療・介護・福祉の専門相談員を配し、無料で健康相談にも応じる。
 2つの居住棟をつなぐ1階の共用スペースは、地域住民にとっても嬉しい設備が充実。このうちレストラン幸福(しあわせ)は、一般客も気軽に利用でき、そのメニューもグループ企業のレストランシェフが腕に縒りを掛けて仕上げた本格カレーや、麺に札幌伝統の玉葱・札幌黄とこんにゃくを練り込んだヘルシーかつ札幌ならではのオリジナルラーメン、黒千石大豆のニラ雑炊など、外食専門店も舌を巻くほどの逸品揃い。また、持ち帰りもできる自家製パンやドーナツの販売もしており、開業時のメニューは10品程度だが、ゆくゆくはこの3倍くらいにラインナップを充実させる意向だ。
 当然ながら入居者や障害のある来店客の対応も万全。レストラン内にはさまざまな補助器具を揃えた福祉用具コーナーを設けており、食事の際にはそれぞれの障害に応じた補助器具を貸与。それを購入することもできる。
 このほか、4台の電動ろくろを備え屋外に焼き釜も設けた陶芸室やカラオケルーム。麻雀や囲碁なども楽しめる地域交流センターに、町内会の会合などにも適した小会議室なども設置し、入居者や地域住民に開放している。
 陶芸に関しては、札幌芸術の森で陶芸の講師を務めていた専門家による一般参加型の陶芸教室を実施していく考え。そして障害者就労支援の側面としては、出来上がった作品を同法人のレストランなどに販売していく予定だ。「入所者の方々が作る陶芸品は、とてもセンスの良いものが多く、レストランで出す食器としても十分な出来栄えです」と施設担当者は話す。
 開放感たっぷりの中庭には、煉瓦造りのバーベキュー台や屋根付き休憩スポットもあり、お祭りなど地域のさまざまなイベントにもうってつけの場所となっている。
 さまざまな機能を有する「しんふぉに~28」だが、今後は現在駐車場として利用している敷地に訓練型デイサービス棟も設ける計画。介護などの生活支援は受けていないが日々の健康維持に努めたいという一般高齢者に向けても無理なく運動ができるトレーニングルームを整備する予定だ。

「奏館」のモデルルーム

バーベキュー台も常設されイベント開催にもうってつけの中庭

誰でも利用できるレストラン幸福(しあわせ)地元食材にこだわったメニューが目白押し(8月1日)

就労支援のほか地域コミュニティ活動にも貢献できる同施設での陶芸

佐藤亮藏理事長

「奏館」のモデルルーム

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「心身に障害を負った人も地域と共に生き、自分らしい暮らしを」。これは、精神疾患への偏見払拭に力を尽くし、地域に開かれた精神科医療を目指してきた佐藤亮藏理事長の理念だが、札幌佐藤病院グループの強みと特徴は、この佐藤理事長の思いを多くの職員が共有していることだろう。「しんふぉに~28をはじめ当法人のこれまで取り組みは、受容・寛容・共生の理念の下、同じ思いで頑張ってくれているスタッフ皆の努力の賜物です」(前出の藤田事務長)



医療法人社団 大藏会 札幌佐藤病院
札幌市東区伏古2条4丁目10番15号
TEL:011-781-5511

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