北海道整形外科記念病院がJRタワークリニックを開業

2018年8月号

かとう・さだとし
1951年4月2日岩手県盛岡市生まれ。77年北海道大学医学部卒業後、同大学医学部整形外科入局。84年米国マイアミ大学医学部整形外科教室に留学。86年北海道整形外科記念病院勤務。92年副院長、2011年院長を経て14年から現職。北海道社会保険柔道整復師施術療養費審査委員会委員長、北海道柔道整復師会附属北海道柔道整復専門学校校長など役職多数。日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会専門医、日本手外科学会専門医。67歳

Medical Report
職員と患者の幸せを追求した40年 国内有数の専門病院が描く“未来”

整形外科医の権威として全国にその名を知られた松野誠夫北大名誉教授(2014年没、享年91)が、大学教授当時から設立に奔走し、1978年に産声をあげた北海道整形外科記念病院(札幌市豊平区・225床)が今年3月、開院40周年の大きな節目を迎えた。道内はもちろん道外の患者からも頼られる国内トップレベルの整形外科専門病院として周知されている同病院だが、その根底には人と人との心の繋がりを何よりも重んじる、信頼と安心の病院運営がある。今年4月にはサテライトとしてJRタワークリニックを開院するという大きなトピックスもあった同病院。前述の松野氏からトップのバトンを受け継いだ加藤貞利理事長・院長(67)に北海道整形外科記念病院の現在と今後の展望を訊いた。(6月14日収録)
 

院内セカンドオピニオンを実現させる強固な信頼関係

 まずは北海道整形外科記念病院の概要を紹介しよう。開院は前述の通り1978年だが、その立役者である松野医師は当時現役の国立大学教授ということから同病院の運営には長らく裏方に徹し、理事長に就任したのは1995年になってから。以後2014年の逝去まで同病院を舵取りし、その後任を務めることになったのが教授時代の教え子でもあった現在の加藤貞利理事長だ。
 現在の姿に病棟が改築されたのが8年前の2010年。病床数は225で約20人の医師をはじめ、総勢約270人の職員が従事している。新病棟の建設にあたっては快適な居住性を重視。約30種類もの樹木や花々が植栽された屋上庭園を2階・4階・5階フロアに設けたほか、入院患者やお見舞いに来た人の語らいの場にうってつけなカフェも備え、来院者や入院患者を癒す工夫が随所に盛り込まれている。
 診療では受診者の疾患に応じて、上肢(肩周辺から手指)・下肢(太ももから足指)・脊椎(首から腰)・股関節(足の付け根)の罹患部位4分野および、リウマチ・スポーツ外傷・骨粗しょう症の各疾患別に細分化して対応。それぞれの分野に精通した専門医師のチーム(各分野に4~5人)が連携してきめ細やかな治療にあたっている。
「国内で100人ほどしか選ばれない各学会の評議員を務めている医師も、当院には複数在籍しています」(加藤理事長、以下同)
 各分野のエキスパートが結集している同病院では、オールラウンドな整形外科治療が確立されていると言っていい。さらに特筆すべきは、「院内セカンドオピニオン」とも呼べる医師同士の協力体制だ。
「例えば私の診療で何か疑問や納得のいかないことを感じられたら、副院長や診療部長といった別の先生に遠慮なく診てもらってくださいと患者さんには話しています。セカンドオピニオンを他所の病院でお願いすると費用も手間もかかる。他の専門病院に行かずとも、ここには優秀な専門医がたくさんいますから」
 いわば同病院の全医師が一丸で患者をフォローするという体制だが、この実践には相互の強い信頼関係が不可欠だ。
「当院の職員とその家族は、整形外科の疾患にかかると、必ず当院を受診してくれます。これは医師も同じで、手術となれば仲間である当院の医師が執刀する。身内から信頼されているということは、何より誇らしいと自負するところです」
 毎月、全国から6500人以上の外来受診者が訪れ、年間約3300例の手術数を誇る北海道整形外科記念病院の実績は、職員同士の強い結び付きにより支えられているところも大きいだろう。
 

屋上庭園は各フロア70~80㎡の広々とした空間

1日およそ500 杯のドリンクが売れるという院内カフェ(1階)

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職員の子育てや介護も支援 働きやすさが生んだ好循環

 即日検査を可能にする3・0テスラと1・5テスラの2台のMRI。全身用CTにX線テレビ装置、骨密度測定装置といった高度な医療機器が充実し、検査体制についても抜かりがない同病院。だが加藤理事長は、肝心なのは優れた医療機器と病院で蓄積された医師の経験を融合させることであり、何より重視すべきは「心」と強調する。
「最新のものが必ずしも最良のものとは限りません。何をもって先進医療とするかは本当に難しい。最新の医療機器は詳細なところまで診断できるというメリットはありますが、そのことと治療の成果はイコールではありません」
 こう前置きした加藤理事長は次のように言葉を続けた。
「治療の本質は、患者さんの自然治癒力をいかにして引き出していくかということ。まずは担当医師を信頼して、この人になら全部任せられる、と思っていただくことが大事。そうなれば、その時点ですでに患者さん自身に『病気を治したい』という自然治癒力が働いている。半分くらいは治っているようなものなんです。私自身、治療の説明には自分で書いた絵などを交えて、分かりやすく伝わるよう心掛けてお話しているのですが、患者さんからは『こんなに一生懸命に説明を受けたのは初めてです』とよく言われます。ですが、医師が患者さんとしっかり向き合い信頼関係が築けなければ、自分から『治そう』という気持ちがなかなか起きてこないと思うんです」
 その加藤理事長は職員に対して、“ゆりかごから墓場まで面倒を見る”をモットーにしているという。
「ゆりかご」とは、職員が安心して子育てできる環境作りを指す。それを象徴するのが、現在の病棟完成から2年後の2012年に開園した附属保育園「きねん保育園」(定員40人)で、子どもを預ける費用のうち3分の2は同病院が福利厚生費として補助している。
「これからの病院には保育園は絶対に必要という私の考えから建設したものですが、職員には結果的にとても喜んでもらっています。職場のすぐ近くで子供の面倒を見てもらえるという安心感からか、職員には子だくさんの家庭も多いんですよ」
 そして「墓場まで」とは、職員の親の介護のサポートを意味する。現在、同病院では職員の家族を優先的に受け入れるサービス付き高齢者住宅(サ高住)の整備を計画中だという。
「介護離職が社会問題化する中で、私たちも何らかの手を打たねばなりません。計画では、建設や運営を私たちが行なうのではなく、サ高住を運営する会社と連携して当病院に一定数の部屋を割り振ってもらう形を考えており、今は下調べを進めているところです。看護師の配置を始め医療的なバックアップについては万全を期しますので、安心して入居していただけると思います」
 同病院では、交通アクセスの課題改善を目的に、さる5月から最寄の地下鉄駅・南平岸駅と病院を結ぶ送迎バスの運行も始めた。送迎バスは来院者のみならず職員も乗車し、1日に70~80人が利用しているという。
「病院で働くスタッフは家族のようなもの。大事にするのは当たり前」が持論の加藤理事長だが、数々の取り組みを通して文字通り有言実行している印象だ。その結果として職員は職場に根付き、働きやすいという評判から自ずと人材が集まるという好循環が北海道整形外科記念病院では生まれていると言っていい。

病院すぐ近くの附属保育園。定員数を増やす計画もある

JRタワーオフィスプラザさっぽろ8Fにサテライト外来を開設

JRタワークリニックの倉上院長。加藤理事長とは同時期に北大整形外科で学んだ旧知の仲だ

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1日およそ500 杯のドリンクが売れるという院内カフェ(1階)

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JRタワークリニックの倉上院長。加藤理事長とは同時期に北大整形外科で学んだ旧知の仲だ

「この病院は職員みんなと人生の旅をする一隻の船」

 今年4月にオープンした同病院附属の「JRタワークリニック」(JRタワーオフィスプラザさっぽろ8F)は、それまでここにあったオフィスプラザ整形外科クリニックを北海道整形外科記念病院が継承したもの。現在は、同病院のサテライト外来という位置付けで、同クリニックを運営していた倉上親治医師(67)がそのまま院長を担っており、手術などは本院が手がける仕組みだ。
「事業継承に伴い午後からの診療には本院の医師による専門外来も始まり、患者さんにはよりいっそう充実した医療を提供できるようになりました」(倉上院長)
 このサテライト開業の大きな狙いは、言うまでもなく都心部に中継拠点を設けて患者の利便性向上をはかること。
「豊平区平岸にある私たちの病院と比べてJRタワークリニックのアクセスは最高で、遠方からでも公共交通機関で楽に来院していただける。ここで診察して本院で手術する患者さんもたくさん出てくるようになりました。それとは逆に、本院で治療した患者さんの中でも、経過観察はアクセスの便利なJRタワークリニックでお願いしたいというケースも多くなりました」
 開業の手応えは上々のようだ。
「今回、新しい事業としてサテライトのオープンに取り組んだわけですが、各部署の職員が自発的に動いて運営システムを作り上げてくれた。そのチームワークの良さには我ながら感心させられました」
 こう語る加藤理事長は、最後に次のような印象的な言葉を残してくれた。
「北海道整形外科記念病院は、いわば一隻の大きな船のようなもの。JRタワークリニックは、さしずめこれからの本院を引っ張っていくタグボートかもしれません。途中で船を降りる人、乗船する人いろいろですが、私は乗組員みんなと人生の旅をしているんだと思っています」
 北海道整形外科記念病院が向かう航海の前途に注目していきたい。



医療法人 北海道整形外科記念病院
札幌市豊平区平岸7条13丁目5-22
TEL:011-812-7001

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